(屋外なら逃げれる!)

 走電の思考。

(違う! 前へ飛んで!)

 スタイナーの思考。

(あ!? 何を言って……)

 走電の思考、終わる前に、

 無理やり『スタイナー』は前へ出た。

(チェッ、いくら俺が【仮想ランボルト】だからって、体の支配権を無理やりとるなよ)
(いつも譲ってるんですからたまには!)

 のんきな二人(一人)の会話。そして、前(死地)へと出たスタイナーには、もちろん策がある。鋭利な犬歯からアデルを吸血鬼として断定したスタイナーならではの策、ではあるが、その成功確信は八割程度。ほぼ確実とも、死がかかっているとしては、不確実とも言える確率だったが、正直フラフラと歩く力しかないスタイナーにとっては、それにすがる以外ないのだ。

「HUSYUUUUUUUUUUUUUUU!!」

 アメコミに出てくる影絵のような、得体の知れない物体となったアデルは、瓦礫を爆散させて空へと飛び上がった。同時に、現在怒りの対象であるスタイナーを発見すると、大型こうもりの翼をばさりと広げ、急降下を始めた。

「KOROSUUUUUUUUUUUUUUU!!」

 もはや吹き飛んだアデルの理性。直進するしかないアデルに向かい、スタイナーは最後の『力』

「【炎魔法】ファイアボール!」

 魔力を振り絞った。

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