――バグが消え、バグが現れ、バグが現れを繰り返し。

 ――その増え方は、加速を加速させ、さらに加速している。

 空に、大きな亀裂が入った。コンマ数秒。

 誰も、気づけない。

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(魔導砲はやはり、使えない――か。機械技術だけで補うにはあのエネルギー量は無理がある。エネルギーを抑えれば発射は可能かもしれないが、フォロッサ城は海を挟んでいる。全体的な戦略上は有効かもしれないが、国境線への移動があと3日かかるなら考えるだけ無駄だろうか……?
 ポチ、リペノ軍が中立国への移動を完了するまで1日、中立国の港から、海を渡りフォロッサ城に侵攻するまで1日。それでうまくいったなら、2日で戦争は終わるが……)

 幾度も繰り返した思考。

(決定力、が足りないな。兵はどうしてもアレクサンドル、チョコから外せない部分がある……領土を広くしすぎたのがあだになったか。統一が完全に済んでいない今、兵や武器、食料等の補給経路は不完全なまま。大戦が二度続くことで、一部を除いて厭戦感情も高まっている。これ以上ないタイミング、か)

 嘆いても仕方がない。

(考えるべきは、アトラ王。そのプレイヤーによって、創られたといってもいい国。ならばそれは同時に柱、アキレス、急所であるということ。おそらくアトラ王のカリスマ性、単純な戦闘力を殺ぐことができたら、勝利は間違いが無いはず。しかし内部情報に若干違和感を感じる。諜報員が一定期間アトラ王の所在さえわからなかった、次に最新の情報できたアトラ城での一騒動。何かあることは確かだが、情報が操作されている可能性もある)

 ライは、結論を感じた。

(考えてばかりいても、仕方がない)

 先駆けて、ライがいたのはフォロッサ城下町の酒場。厳重体制の下で、たった一人での潜入だった。

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