「何をしているの?」

 カナンが言ったのは、ただそれだけだった。

 今、お前達は何をしているのか? それだけを聞いた。半ば答えは求めていなかった。それは、幼さ故にか、自分の思い通りにならないことへの不満が容易く聞き取れる声だった。

「今の衆なら、大した犠牲も出さずに、攻め落とすことが可能だと、私に提案したのは貴方達でしょう? シムシの国民の脅威を少しでも少なくすると言ったのは、貴方達でしょう?」

 確かに、そうだった。7−2、7−4、7−6は、他の大部分の意見を削ぎ落としてまで、自分達の思いを優先した。だのに。

「これは、何ですか?」

 咎めるような声。確かに7−2たちも混乱していた。確かにカナンの言うことは最もだった。だが。

「――この戦争に、意味はない」

 それが、最重要事項なのだ。覆すことのできない、最初に出てくる思考。

「……」

 コールが沈黙した。

 同時に巨大な魔力の集中を、アルル大渓谷より2kmシムシ側に離れた地点、つまりはシムシ軍側総司令部のある場所に、衆、7達、それぞれが確認した。

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