シムシと衆の国境は、アルル大渓谷という巨大な谷が一線を引いている。
その谷は大概が断崖絶壁で、数kmにも及ぶ幅、数百にもおよぶ高さを持つものが多い。つまり、渡ることは普通の人間にはまず不可能である。
そんな大渓谷だが、いくつか渡ることが可能なポイントが存在する。そのポイントは点在するが、その中で最も多くの人数が渡れるポイントは、数百kmにも及ぶ長さのアルル大渓谷、そのちょうど真ん中付近にあった。
数年前までは小規模な衝突を繰り返していたそのポイントも、最近は衆の沈黙によって、しばらく一時的な平和が訪れていた。
そう、あくまでも一時的なものだったが。
「全体!!」
号令を下したのは、シムシ軍クロアート支部師団長、7−2である。そしてその横にいるのは、それぞれ大元帥、もしくは兄弟である7−4、7−6である。
(……新しい長……どれほどのものか……?)
集結したシムシ軍、 およそ、 1000人。
もちろん、総力ではない。多少は守りにも割いている。さまざまな事情でシムシ兵は減っており、さまざまな事情でこの戦争に参加できる兵士も限定されているが、この数はシムシ軍が侵攻のため集め得る最高の人数というのに間違いはない。
つまり、これが今現在の、シムシ軍全力の攻撃なのである。
これは、法王カナンの意向である。やるなら、徹底的に。完璧に。完膚なきまでに。それが、幼くも一国を背負う一人の、決断だった。
7−6が続きを叫ぶ。
「前へ!」
うおお、と、地響きを起こすほどの全シムシ兵の掛け声。地を叩く音が一千。衆へ侵攻する眼が二千。それが一糸乱れぬ隊列で、進み出した。
それに対抗するのは、何の策もない、ただ一人で大地に立つプレイヤー。白のローブが千の動かす空気によって、千切れんばかりになびく。
衆側の谷で一人立つのは、
衆の長、シンリ。
その谷は大概が断崖絶壁で、数kmにも及ぶ幅、数百にもおよぶ高さを持つものが多い。つまり、渡ることは普通の人間にはまず不可能である。
そんな大渓谷だが、いくつか渡ることが可能なポイントが存在する。そのポイントは点在するが、その中で最も多くの人数が渡れるポイントは、数百kmにも及ぶ長さのアルル大渓谷、そのちょうど真ん中付近にあった。
数年前までは小規模な衝突を繰り返していたそのポイントも、最近は衆の沈黙によって、しばらく一時的な平和が訪れていた。
そう、あくまでも一時的なものだったが。
「全体!!」
号令を下したのは、シムシ軍クロアート支部師団長、7−2である。そしてその横にいるのは、それぞれ大元帥、もしくは兄弟である7−4、7−6である。
(……新しい長……どれほどのものか……?)
集結したシムシ軍、 およそ、 1000人。
もちろん、総力ではない。多少は守りにも割いている。さまざまな事情でシムシ兵は減っており、さまざまな事情でこの戦争に参加できる兵士も限定されているが、この数はシムシ軍が侵攻のため集め得る最高の人数というのに間違いはない。
つまり、これが今現在の、シムシ軍全力の攻撃なのである。
これは、法王カナンの意向である。やるなら、徹底的に。完璧に。完膚なきまでに。それが、幼くも一国を背負う一人の、決断だった。
7−6が続きを叫ぶ。
「前へ!」
うおお、と、地響きを起こすほどの全シムシ兵の掛け声。地を叩く音が一千。衆へ侵攻する眼が二千。それが一糸乱れぬ隊列で、進み出した。
それに対抗するのは、何の策もない、ただ一人で大地に立つプレイヤー。白のローブが千の動かす空気によって、千切れんばかりになびく。
衆側の谷で一人立つのは、
衆の長、シンリ。
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