48.某バヤシ、NET
2008年5月22日 Live2「そうか……」
「そうかってなんですか!」
「そうかはそうかだよ!」
「あーそうですか!」
「あーそうですよ!」
子供の口喧嘩をしているのは、アレックスとNETである。
「そんなことよりも……」
「そんなことってなんですか!」
「そんなことはそんなことだよ!」
「あーそんなことですか!」
「あーそんなことですよ!」
再び子供の口喧嘩をしているのは、【救世】と元元老である。
「……死んだっていっても、また俺みたいに帰ってこれるんだから……」
見も蓋もないことを言うNETであったが、
“GM緊急告知! まことに申し訳ありませんが、Live世界はただいまよりしばらくの間、ログインができなくなります。Liveよりログアウトか、死亡をいたしますと、しばらくの間Liveへは戻れませんので、ご注意ください。以上です”
というGMの全世界テレパシーに途中で言葉を遮られた。
「ほら、NETさんがそんなこと言うから……」
「……」
これで、ログアウトか死亡すれば、しばらくの間戻ってこれない。そのしばらくによっては、二度とLive世界に戻ってこれなくなるかもしれなかった。
「こういうときの業者の告知の“しばらく”ってのは、“永遠”となるのがセオリーである」
何気なく言ったNETであったが、
「ほら、NETさんがそんなこというから……」
アレックスのボケも、洒落にならなくなってしまった。
「――原因はやっぱり、世界のズレだろうな」
「世界のズレってなんですか?」
NETが「そんなことも知らないのか、このクズが」という顔をする。負けじとアレックスは、「知るわけないだろうが、このNEETが」という顔をする。
もちろんNETは、得意気に語りだした。
「こんな情報知ってるか? Live世界は【バグ】で成り立っている」
「……はぁ?」
NETが「そんなことも知らないのか、この二次元に恋する男」が、という顔をすると、負けじとアレックスは、「根本的に間違ってますけどー、まずサティンは三次元ですー」という顔をする。
構わずNETは続ける。
「確かにLive世界は完璧ともいえる。リアルな描写。リアルな感触。素晴らしいバランス。しかーし? はたしてここまで完璧な世界は完璧なのか? 答えはNO!」
「バカですか」
NETが「殺」という顔をすると同時に、二人は取っ組み合った。
-----------------------------
――数十分後。
「つまりこの世界は、バグだらけだった! ということなんだよ!」
ΩΩΩ<な、なんだってー
某バヤシになりきったNETは、喧嘩によって集まってきた野次馬達を『な、なんだってー』と言わせることに成功した。もちろんアレックスは気絶していて聞いてない。あとで嫌というほど聞かされるので問題はないのだが。
「そもそも、バグ、つまり誤りというのは前進のために必要なのだ。成功と失敗は表裏一体。どちらもなくてはならぬ存在。
人は、いや、動物は、いや、世界は! 失敗を繰り返しながら成長していく! このLive世界もそうなのだ! 失敗に失敗を繰り返し、試行錯誤を繰り返しに繰り返し、やっと一つの成功をつかんでそれが世界に定着するのだ! そう! まさに今のLiveは誤り! つまりバグの塊の上に成り立っているのである!」
ΩΩΩ<な、なんだってー
まあ、NETの話は極端といえば極端なのだが。
「初期の昏迷期に起きた、バグだらけのアイテムやダンジョンの山が、そのいい例だろう。あれらがあったからこそ、今の安定……したかどうかはしらんが、まあ今のLive世界がある。つまり、バグはなくてはならない。それはわかったな?」
某バヤシ節はすでに道を塞ぐほどの人だかりを作っていた。
「じゃあ? 【間違い】を繰り返してきた、今のLive。その【間違い】は? 【バグ達】は何処へ行ったんだ?
――答えは、『何処にも行ってない』んだ。バグは今もLive世界の裏側に、あるいは表側に目立たないように潜んでいて、虎視眈々と大きな亀裂になろうと頑張っている! Live世界! 世界といっても、この世界は大量のコンピューターからできた限定された世界だ! 容量がある! その容量を超える、あるいはそれに迫ったとき、世界の処理力は大幅に失われ、ズレが発生する! ラグ! 処理落ち! それがだんだん大きくなり、いよいよズレが完全な『【ハ】ズレ』になったとき!! 世界は、終わるだろう!!!
そう! このLive世界は! バグによって滅亡する!!!」
わいわいがやがや。
いつもの人通りが戻ってきた。
某バヤシポーズを取るNETと、気絶して道路の真ん中で寝ているアレックスには、目もくれない通行人達。
なーにが滅亡だよ。バカらしい。
どこからか、そんな声が聞こえた。
「すでにその兆候は……いたるところで見られるというのに」
NETは残念そうに、アレックスを背負った。
「そうかってなんですか!」
「そうかはそうかだよ!」
「あーそうですか!」
「あーそうですよ!」
子供の口喧嘩をしているのは、アレックスとNETである。
「そんなことよりも……」
「そんなことってなんですか!」
「そんなことはそんなことだよ!」
「あーそんなことですか!」
「あーそんなことですよ!」
再び子供の口喧嘩をしているのは、【救世】と元元老である。
「……死んだっていっても、また俺みたいに帰ってこれるんだから……」
見も蓋もないことを言うNETであったが、
“GM緊急告知! まことに申し訳ありませんが、Live世界はただいまよりしばらくの間、ログインができなくなります。Liveよりログアウトか、死亡をいたしますと、しばらくの間Liveへは戻れませんので、ご注意ください。以上です”
というGMの全世界テレパシーに途中で言葉を遮られた。
「ほら、NETさんがそんなこと言うから……」
「……」
これで、ログアウトか死亡すれば、しばらくの間戻ってこれない。そのしばらくによっては、二度とLive世界に戻ってこれなくなるかもしれなかった。
「こういうときの業者の告知の“しばらく”ってのは、“永遠”となるのがセオリーである」
何気なく言ったNETであったが、
「ほら、NETさんがそんなこというから……」
アレックスのボケも、洒落にならなくなってしまった。
「――原因はやっぱり、世界のズレだろうな」
「世界のズレってなんですか?」
NETが「そんなことも知らないのか、このクズが」という顔をする。負けじとアレックスは、「知るわけないだろうが、このNEETが」という顔をする。
もちろんNETは、得意気に語りだした。
「こんな情報知ってるか? Live世界は【バグ】で成り立っている」
「……はぁ?」
NETが「そんなことも知らないのか、この二次元に恋する男」が、という顔をすると、負けじとアレックスは、「根本的に間違ってますけどー、まずサティンは三次元ですー」という顔をする。
構わずNETは続ける。
「確かにLive世界は完璧ともいえる。リアルな描写。リアルな感触。素晴らしいバランス。しかーし? はたしてここまで完璧な世界は完璧なのか? 答えはNO!」
「バカですか」
NETが「殺」という顔をすると同時に、二人は取っ組み合った。
-----------------------------
――数十分後。
「つまりこの世界は、バグだらけだった! ということなんだよ!」
ΩΩΩ<な、なんだってー
某バヤシになりきったNETは、喧嘩によって集まってきた野次馬達を『な、なんだってー』と言わせることに成功した。もちろんアレックスは気絶していて聞いてない。あとで嫌というほど聞かされるので問題はないのだが。
「そもそも、バグ、つまり誤りというのは前進のために必要なのだ。成功と失敗は表裏一体。どちらもなくてはならぬ存在。
人は、いや、動物は、いや、世界は! 失敗を繰り返しながら成長していく! このLive世界もそうなのだ! 失敗に失敗を繰り返し、試行錯誤を繰り返しに繰り返し、やっと一つの成功をつかんでそれが世界に定着するのだ! そう! まさに今のLiveは誤り! つまりバグの塊の上に成り立っているのである!」
ΩΩΩ<な、なんだってー
まあ、NETの話は極端といえば極端なのだが。
「初期の昏迷期に起きた、バグだらけのアイテムやダンジョンの山が、そのいい例だろう。あれらがあったからこそ、今の安定……したかどうかはしらんが、まあ今のLive世界がある。つまり、バグはなくてはならない。それはわかったな?」
某バヤシ節はすでに道を塞ぐほどの人だかりを作っていた。
「じゃあ? 【間違い】を繰り返してきた、今のLive。その【間違い】は? 【バグ達】は何処へ行ったんだ?
――答えは、『何処にも行ってない』んだ。バグは今もLive世界の裏側に、あるいは表側に目立たないように潜んでいて、虎視眈々と大きな亀裂になろうと頑張っている! Live世界! 世界といっても、この世界は大量のコンピューターからできた限定された世界だ! 容量がある! その容量を超える、あるいはそれに迫ったとき、世界の処理力は大幅に失われ、ズレが発生する! ラグ! 処理落ち! それがだんだん大きくなり、いよいよズレが完全な『【ハ】ズレ』になったとき!! 世界は、終わるだろう!!!
そう! このLive世界は! バグによって滅亡する!!!」
わいわいがやがや。
いつもの人通りが戻ってきた。
某バヤシポーズを取るNETと、気絶して道路の真ん中で寝ているアレックスには、目もくれない通行人達。
なーにが滅亡だよ。バカらしい。
どこからか、そんな声が聞こえた。
「すでにその兆候は……いたるところで見られるというのに」
NETは残念そうに、アレックスを背負った。
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