「……嘘、じゃろう?」

 報告を聞いたカイド国王、アトラ。

「……あやつ……、馬鹿者……」

 動揺を隠すことが、できなかった。

「残念です……」

 シシは脳内とは裏腹のことを言う。
 アトラはカイドの裏で、動き始めたものに、まだ気づくことができない。

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「周さんが……死んだ?」

 結局四人で行動することになったアレックス達は、まずキルタイムとの接触を試みていた。アサトは諜報目的でキルタイムという組織に所属していたらしい。そこがどうやら世界の崩壊にかかわっているんだと、アサトは言う。
 なんとNETはキルタイムからお誘いがきたのを覚えているらしい。NETさんを誘うなんてどんだけ適当な組織なのだろう。アレックスはキルタイムを舐めていた。
 しかし、一応キルタイムは変態PKの集まりということで、アサトも何度も危ない目に遭っているらしい。その組織についても、そのPK達一人一人についても、情報は多いに越したことがない。ということで四人分かれてプロで情報収集をしているときに、アレックスはその情報を手に入れた。

 『衆の長、周死亡! 内乱、終結へ!』

「……信じられない」

 あの周さんが。アレックスも動揺を隠せなかった。アレックスは一度だけ周と会ったことがある。強い眼と、何者もを圧倒するオーラを持っていた。なのに?

 ――NETさんにも、一刻も早く伝えておかないと……。

 アレックスは久しぶりに【神速】を発動した。いよいよ、疲れる、メンドイなどと言っている場合ではなくなってきた。何かが高速で通り過ぎる気配を感じる通行人達。しかし通行人たちは、そこに何もいないことを認めて、プロはいつもどおり平和だった。

 『新、衆の長は、民衆より支持された無名のプレイヤー、シンリ!』

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「カナン様」

「……どうしたの、エラシナ?」

「魔導砲が完成しました」

「……そう」

「そして、衆の長が、死にました」

「……そう」

「今こそ、ご決断を」

 シムシ首都、アレクサンドルには、雨が降っていた。城の中央、王の寝室で、窓を打つ雨を見ながら、カナンは言った。

「衆に宣戦布告します」

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