37.アレックス、アサト
2008年5月19日 Live2「あんたが【救世】のアレックスだな?」
ある昼下がりのプロで、アレックスとNETはロッカク堂にて暇を潰していた。そんな気が緩みまくりの空気に割り込んだのは、いかにも理由あり気な二人組みである。少し背の高めの男と、ロングの紫色の髪が暗闇で映える、いかにも魔女な女。アレックスの顔がさっと「面倒そう」な顔に変わり、NETの顔がさっと「面白そう」な顔に変わる。
「? いや違いますよ」
表情を変えず、アレックスはしれっと答えた。
「アレックス、その嘘は意味ないぞ。ネーム見えてるから。あと微妙に顔を背けると余計怪しいから」
すかさずNETがフォローする。
「なんでそういうこと言うんですか! もしかしたらそのまま気付かず帰ってくれるかもしれないでしょ!」
もちろん激昂アレックス。いつものパターンである。
「いや、アンタは99.9%、【救世のアレックス】だ」
少し背の高めの男が、言った少し違和感のある言葉。
「……」
「……おお、珍しいな、【解析】か」
元元老、NETは「ますます面白く」、【神速】のアレックスは「ますます面倒だ」、といったような表情に変化した。
----------------------
四人は喫茶店でもないのに普通においてあるテーブル席に座り、喫茶店でもないのに普通においしいコーヒーを店主シンカに頼み、さあこれからどうしようといった空気になった。
店主なのに全く客を敬う気配を見せずコーヒーを雑に置いたシンカは、さっさとカウンターに戻って新聞を読み始めた。
「あなたたちなら、気付いていると思って」
そら来た。アレックスはすっかり毒され、昔のまじめさ、ピュアさをすっかり失い、いかに『楽』に生きるか、『ストレス』に悩まされず生きるかをいつも考えるようになっていた。これはいつもNETが側にいる成果である。「あなたたちなら、気付いていると思って」と言ったのは、背の高い方の男である。このような言葉が出だしでは、
「『世界に崩壊が近づいている』ことに」
ほらぁ。思わず手で顔を覆い隠し、空を仰ごうとしたアレックス。NETの目はますます輝きだしている。アレックスに悪夢が訪れようとしていた。
「俺はアサト。こっちは魔女」
「ヘレナ。本当に、あなたは失礼ね。お二方も馬鹿ではないのだから、ネーム確認すれば自己紹介なんて不要でしょう。
久しぶりにカイドの森を出て、プロくんだりまで来たかと思えば、なんでこんなことをしてるんだか……。私は賢者の石が手に入ればそれでいいのに……」
口を開いた冷たそうな魔女は、まだ文句を言いたいらしかったが、
「世界を救いたいって、わけじゃないんだ。だけど、俺はまだこの世界を見て、視て、観て、診て、【解析】し尽くしていない。それで終わるのが嫌なんだ」
アサトが言葉を紡いだ。
それは、世界を救いたいということなんですよ。アレックスは優しく諭そうとした。が
「ああ、その通りだ。このまま終わらせてはいけない」
NETに容易く阻まれた。
ある昼下がりのプロで、アレックスとNETはロッカク堂にて暇を潰していた。そんな気が緩みまくりの空気に割り込んだのは、いかにも理由あり気な二人組みである。少し背の高めの男と、ロングの紫色の髪が暗闇で映える、いかにも魔女な女。アレックスの顔がさっと「面倒そう」な顔に変わり、NETの顔がさっと「面白そう」な顔に変わる。
「? いや違いますよ」
表情を変えず、アレックスはしれっと答えた。
「アレックス、その嘘は意味ないぞ。ネーム見えてるから。あと微妙に顔を背けると余計怪しいから」
すかさずNETがフォローする。
「なんでそういうこと言うんですか! もしかしたらそのまま気付かず帰ってくれるかもしれないでしょ!」
もちろん激昂アレックス。いつものパターンである。
「いや、アンタは99.9%、【救世のアレックス】だ」
少し背の高めの男が、言った少し違和感のある言葉。
「……」
「……おお、珍しいな、【解析】か」
元元老、NETは「ますます面白く」、【神速】のアレックスは「ますます面倒だ」、といったような表情に変化した。
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四人は喫茶店でもないのに普通においてあるテーブル席に座り、喫茶店でもないのに普通においしいコーヒーを店主シンカに頼み、さあこれからどうしようといった空気になった。
店主なのに全く客を敬う気配を見せずコーヒーを雑に置いたシンカは、さっさとカウンターに戻って新聞を読み始めた。
「あなたたちなら、気付いていると思って」
そら来た。アレックスはすっかり毒され、昔のまじめさ、ピュアさをすっかり失い、いかに『楽』に生きるか、『ストレス』に悩まされず生きるかをいつも考えるようになっていた。これはいつもNETが側にいる成果である。「あなたたちなら、気付いていると思って」と言ったのは、背の高い方の男である。このような言葉が出だしでは、
「『世界に崩壊が近づいている』ことに」
ほらぁ。思わず手で顔を覆い隠し、空を仰ごうとしたアレックス。NETの目はますます輝きだしている。アレックスに悪夢が訪れようとしていた。
「俺はアサト。こっちは魔女」
「ヘレナ。本当に、あなたは失礼ね。お二方も馬鹿ではないのだから、ネーム確認すれば自己紹介なんて不要でしょう。
久しぶりにカイドの森を出て、プロくんだりまで来たかと思えば、なんでこんなことをしてるんだか……。私は賢者の石が手に入ればそれでいいのに……」
口を開いた冷たそうな魔女は、まだ文句を言いたいらしかったが、
「世界を救いたいって、わけじゃないんだ。だけど、俺はまだこの世界を見て、視て、観て、診て、【解析】し尽くしていない。それで終わるのが嫌なんだ」
アサトが言葉を紡いだ。
それは、世界を救いたいということなんですよ。アレックスは優しく諭そうとした。が
「ああ、その通りだ。このまま終わらせてはいけない」
NETに容易く阻まれた。
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