36.アメツキ、銀

2008年5月18日 Live2
「銀ちゃん、お疲れー」

「ええ、今回は大作ですよ、アメツキ」

 銀ちゃん、アメツキと気安く呼び合った二人。チャットルームにて。

「一つ目の『創作』は本当に楽しかったんだけどね。二つ目の『抽出』や『凝縮』はちょっとつまらなかったかな」

「ふふふ、一つ目の方が大仕事だったと思うんだけどなあ」

 銀も、アメツキも、めったに見せない笑顔を見せていた。しかし、部屋の空気の重さは変わっていなかった。

「コレはどうする?」

 銀が示したのは、大量の武具、防具の山だった。すべては第二の作品のために、『空(から)』になっているのだが。

「好きにしていいよ、捨てちゃってもいいし」

 ふらふらと手を振り、アメツキはその空間を立ち去ろうとしたが……。

「ごめん、面倒なことになっちゃった」

 突然その空間にネクターが現れ、すばやい動きでアメツキの後ろに隠れた。追って無言で突入してきたのは、空間を押しつぶすような質量、大量の砂だった。

「……」

 砂の隙間から除く赤く血走った目は、ネクターを捉えて離さなかった。

「……ごめーん、接触は避けようとは思ってたんだけど」

「……しょうがないな」

 面倒そうにゆらりと動いたアメツキは、一瞬で消えた。敵が視界に入っている、あるいは敵の座標さえ特定できれば、アメツキはその近くの空間に割り込むことができる。最強に近い先天性スキル、【テレポート】:A 。

「面白くないな……」

 砂を空間ごと押しのけてサーストの目の前に現れたアメツキは、サーストの頭を右手で鷲掴みにした。すかさず押しのけられた砂がサーストの意思を受け、1秒も経たずアメツキの胴体をひねり潰した。だが、しかし

「流石、残念」

 かまわず、アメツキは右手に力を込めた。サーストの頭がいとも簡単に、握りつぶされたトマトのようになり、砂が主の意思を失い崩れる前に、アメツキは元の空間へと戻った。

「ネクターは、大事だからね」

 まだ使える、の間違いでしょ。ネクターは思うだけに留めた。

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