圧倒的な力には、圧倒的な力を。
まさしくそのままに。
大津波に飲み込まれた砂とサーストは、その場から何百メートルも押し流された。全身の包帯が濡れ、湿った砂の上を何メートルも転がって、サーストはようやく止まった。全身の包帯は水と砂で汚れてしまった。
サーストの右目が、みるみる血走っていく。
----------------------------
津波の後の静けさの中に、生き残ったものたちは佇んでいた。
片手を津波が発生した空間に掲げたまま、謎の少年(青年?)は、口の端を少しつりあげて不敵に笑っていた。
「危ない、危ない」
そしてわざとらしく、片手で額の汗をぬぐうポーズ。
「ここで死なれちゃ、困るもんね!」
シンリを見て、にっこり!
「それじゃ!」
名前確認する間もなく、その少年は、去った。
シンリは、ザクロは、ライは、呆然としていた。
----------------------------
「――生き残ったのは、三十八名です」
族長のテントに、その集落の全プレイヤーが集結していた。逆に言えば、一つのテントに入りきる人数が、今の現実の数である。
「襲ってきたのは【砂漠】のサーストで間違いないでしょう。――そして少年のほうですが……、結局は誰もネーム確認をしておらず、詳細はわかりません。【全魔法行使】を使用した、という情報もありますが……間違いないでしょうか?」
一人立ち上がって、淡々と情報の整理をしていくライ。幾名かが意見を述べ、また次の情報整理に移る。
「次に今後の私達の方針と、集落の皆さんの方針についてですが……」
一人、テントの隅、闇の中で、シンリはただ考えていた。
「この人数では集落の維持は――」
ライの言葉に、ノイズが入っていく。シンリの心理はある一点に向かって収束する。
「――難シく、だ―らこそ――」
まばたきを、呼吸を忘れ。
「――、――」
ただ、 力がいル。
シンリの両目から、血の涙が一筋だけ。
まさしくそのままに。
大津波に飲み込まれた砂とサーストは、その場から何百メートルも押し流された。全身の包帯が濡れ、湿った砂の上を何メートルも転がって、サーストはようやく止まった。全身の包帯は水と砂で汚れてしまった。
サーストの右目が、みるみる血走っていく。
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津波の後の静けさの中に、生き残ったものたちは佇んでいた。
片手を津波が発生した空間に掲げたまま、謎の少年(青年?)は、口の端を少しつりあげて不敵に笑っていた。
「危ない、危ない」
そしてわざとらしく、片手で額の汗をぬぐうポーズ。
「ここで死なれちゃ、困るもんね!」
シンリを見て、にっこり!
「それじゃ!」
名前確認する間もなく、その少年は、去った。
シンリは、ザクロは、ライは、呆然としていた。
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「――生き残ったのは、三十八名です」
族長のテントに、その集落の全プレイヤーが集結していた。逆に言えば、一つのテントに入りきる人数が、今の現実の数である。
「襲ってきたのは【砂漠】のサーストで間違いないでしょう。――そして少年のほうですが……、結局は誰もネーム確認をしておらず、詳細はわかりません。【全魔法行使】を使用した、という情報もありますが……間違いないでしょうか?」
一人立ち上がって、淡々と情報の整理をしていくライ。幾名かが意見を述べ、また次の情報整理に移る。
「次に今後の私達の方針と、集落の皆さんの方針についてですが……」
一人、テントの隅、闇の中で、シンリはただ考えていた。
「この人数では集落の維持は――」
ライの言葉に、ノイズが入っていく。シンリの心理はある一点に向かって収束する。
「――難シく、だ―らこそ――」
まばたきを、呼吸を忘れ。
「――、――」
ただ、 力がいル。
シンリの両目から、血の涙が一筋だけ。
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