27.砂漠の夜、サースト
2008年2月16日 Live2 衆の砂漠の夜は、静かだった。
黄金色の砂の海の上に、無数の星と大きな月が一つ、浮かんでいる。
大きな月を背後にして、プレイヤーのシルエットが一つ。
そのプレイヤーの体から、あぶれた無数の包帯が、風にたなびいてバタバタと音を出していた。
全身に包帯を巻いたそのプレイヤーは、右目だけを外気にさらしていた。
それ以外は手も、足も、口さえも外に出していない。全て包帯で隠している。包帯は砂でところどころ汚れていて、剥がれそうなところも多々あるが、何重にも巻かれた包帯が解かれた姿を見たものは、今のところ誰もいなかった。異常な量の包帯を全身に巻き、自分自身の手足、右目以外の五感を全て奪うその行為も、そのプレイヤーは自分でやってのけたのだ。
ならばそのプレイヤーは、どうやって移動するのか。どうやって話すのか。どうやって生きるのか。
一つ目の「移動」は、簡単だった。
そのプレイヤーには心強い味方がいた。
黄金の砂の海が突然空高く盛り上がり、大きな傾斜を作った。
プレイヤーはその傾斜を、ただ滑り落ちる。
滑り落ちた先でまた砂漠が大きく盛り上がった。
それを幾度も繰り返し、そのプレイヤーは移動した。
もちろん、異常である。
二つ目の「話す」は、さらに簡単だった。
そのプレイヤーはログインして以来、一言も言葉を発したことがなかった。
そんなプレイヤーがキルタイムに所属しているのは、アメツキも異常だったからだろう。
そのプレイヤーはただアメツキから指示を受けたからここに来た。返事はしていない。頷いてもいないのでアメツキはそのプレイヤーが本当にその指示に従うのか知らない。
アメツキは、それでよかったが。
三つ目の、……「どうやって生きる」?
今までで一番、そのプレイヤーには簡単だった。
ただ、【渇する】。
――プレイヤーネーム:【サースト】
【砂漠】の通り名を持つ、最悪のSランクプレイヤーキラーの一人だった。
黄金色の砂の海の上に、無数の星と大きな月が一つ、浮かんでいる。
大きな月を背後にして、プレイヤーのシルエットが一つ。
そのプレイヤーの体から、あぶれた無数の包帯が、風にたなびいてバタバタと音を出していた。
全身に包帯を巻いたそのプレイヤーは、右目だけを外気にさらしていた。
それ以外は手も、足も、口さえも外に出していない。全て包帯で隠している。包帯は砂でところどころ汚れていて、剥がれそうなところも多々あるが、何重にも巻かれた包帯が解かれた姿を見たものは、今のところ誰もいなかった。異常な量の包帯を全身に巻き、自分自身の手足、右目以外の五感を全て奪うその行為も、そのプレイヤーは自分でやってのけたのだ。
ならばそのプレイヤーは、どうやって移動するのか。どうやって話すのか。どうやって生きるのか。
一つ目の「移動」は、簡単だった。
そのプレイヤーには心強い味方がいた。
黄金の砂の海が突然空高く盛り上がり、大きな傾斜を作った。
プレイヤーはその傾斜を、ただ滑り落ちる。
滑り落ちた先でまた砂漠が大きく盛り上がった。
それを幾度も繰り返し、そのプレイヤーは移動した。
もちろん、異常である。
二つ目の「話す」は、さらに簡単だった。
そのプレイヤーはログインして以来、一言も言葉を発したことがなかった。
そんなプレイヤーがキルタイムに所属しているのは、アメツキも異常だったからだろう。
そのプレイヤーはただアメツキから指示を受けたからここに来た。返事はしていない。頷いてもいないのでアメツキはそのプレイヤーが本当にその指示に従うのか知らない。
アメツキは、それでよかったが。
三つ目の、……「どうやって生きる」?
今までで一番、そのプレイヤーには簡単だった。
ただ、【渇する】。
――プレイヤーネーム:【サースト】
【砂漠】の通り名を持つ、最悪のSランクプレイヤーキラーの一人だった。
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