26.シンリ、走電

2008年2月10日 Live2
 ようやくジョーカーマスクが納得したのは、シンリがまた二、三回吹っ飛ばされてからだった。

「いやー、悪い悪い! よく聞いてみると勘違いのようだ!」

 ははは、と豪快に笑ったジョーカーマスクは、逞しい片手で砂だらけになったシンリを立たせた。

「ま、怪我はないだろう?」

 確かに、シンリに外傷はなかった。派手に吹っ飛んだように見えたが。

「蹴りや突きの『風圧』だけで飛ばしてたからな!」

 じゃあ直撃したら? と、考え、シンリはぞっとした。

「え、ええ……大丈夫です。わかってもらえて嬉しいです」

 とことんお人好しのシンリだった。

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「ほら、ついたぞ」

 走電と名乗ったジョーカーマスクは、名前は見るなと言った。ザクロとシンリは素直なのでそれに従った。それに満足した後に、ジョーカーマスクはお詫びにシンリを目的地まで案内させて欲しいと言った。以上あらすじ。

「あそこが、この集落の長のテントだ」

 確かに他のテントとは明らかに大きさも配色も違うテントがあった。他のテントより一回りは大きい天井、赤い線を何本も入れた目立つ配色は、確かにここは集落の中心であると明言している。

「しかし、あんな堅物のオッサンに会ってどうするつもりだい」

 走電は興味津々な様子で聞いた。

「内戦を止める協力をしてもらおうかと」

 シンリは、さらりと言った。 

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