「まずは首都、チョコを探します。今はただでさえ、周派と銀派の対立が激しい。チョコは無駄な争いを避けるため、民を安全な場所に逃すため、大移動を短期で繰り返すようになっています。そのため、首都の場所の情報料は、巷では信じられない程の高値に跳ね上がってしまっています。しかも、こうしている今でも、チョコは移動しているかもしれません。少々でもタイムラグのある情報をあてに、チョコ大砂漠を移動するのはあまりに危険だと思います。
確実にわかるのは、チョコの地域。その地域を、チョコの民は移動しているということだけでしょう。一国の首都クラスの数の人間が、大移動している。その痕跡がないということもないでしょう。私達はそれを辿り、首都を目指す予定です。きっとそれが一番確実です。うん」
「つまり『高い情報料を払うお金がないので、自力で探す』ということではない、ということですね。シンリ様」
「君は察しが良すぎて困ります。ライ君」
ちなみに、狡賢かった男の名前は、ライだった。一度ステラの民に借りた服で正装してみると、男は稲妻色の髪と瞳、中々に聡明な頭脳を持つ青年だった。
今はシンリにすっかり傾倒している。彼の言う言葉全てを信じているのだから、当たり前なのかもしれないが。
「ライ君なんてやめてください。ライか奴隷でいいですから」
「ライ君が精一杯の譲歩です。ライ君。さて、そろそろ出発しますか」
衆の地図や、簡単なアイテム、旅用品等をポチ達から貰った布でできた簡単なナップサックにまとめ、自分で持とうとしてライに取られたシンリは、仕方なく数日間お世話になったテントから手ぶらで外に出た。
まずは灼熱の太陽。そして、ところどころツギハギなテントや、前回の襲撃での焼跡等が目についた。
「……」
ライは無言で、ステラの集落を眺めていた。その胸中には様々なものが渦巻いているのだろう。自分の罪の大きさの把握は、結構きつい刑である。
「チョコに、行くんだよね?」
横から声をかけてきたのは、ポチ、ザクロ、リペノ、それに数人のポチを信頼しているステラの戦士達だった。
「ええ、今までありがとうございました。『内戦は必ず私が止めます』、ポチさん。だから、私は行きます。行かなければならないんです」
真っ直ぐポチの瞳を見つめ、何の躊躇いもなくその言葉を口にできるシンリ。その瞳に答えたのは、ポチ。
「不思議だ――。シンリさんと出会ってから、数日しか経っていないけれど……もうシンリさんの言葉を信じている自分がいる。
このステラの集落以外、何も信じまいと思った。自分の手がそんなに大きいものじゃないと知ってからは、身に余るほど守るものは作らないようにしようと思った。
でも――、シンリさんと共になら、この内戦を止められる気がする。もう二度と、こんなことを起こさせない。それが可能になる気がする」
ポチは剣を抜き、片手で空高く掲げた。衆の灼熱の太陽の光を浴びて、剣が輝く。
「僕達も連れていってくれ」
ザクロ以外のリペノ、ステラの戦士達も剣を抜き放ち、天に掲げた。
「この剣に誓って、貴方の力になります。シンリ様」
シンリ、ポチ、戦士三名。合計五本の剣の光が、シンリの眼を一瞬眩ました。
「……うわお」
シンリは、その光景に圧倒された。
確実にわかるのは、チョコの地域。その地域を、チョコの民は移動しているということだけでしょう。一国の首都クラスの数の人間が、大移動している。その痕跡がないということもないでしょう。私達はそれを辿り、首都を目指す予定です。きっとそれが一番確実です。うん」
「つまり『高い情報料を払うお金がないので、自力で探す』ということではない、ということですね。シンリ様」
「君は察しが良すぎて困ります。ライ君」
ちなみに、狡賢かった男の名前は、ライだった。一度ステラの民に借りた服で正装してみると、男は稲妻色の髪と瞳、中々に聡明な頭脳を持つ青年だった。
今はシンリにすっかり傾倒している。彼の言う言葉全てを信じているのだから、当たり前なのかもしれないが。
「ライ君なんてやめてください。ライか奴隷でいいですから」
「ライ君が精一杯の譲歩です。ライ君。さて、そろそろ出発しますか」
衆の地図や、簡単なアイテム、旅用品等をポチ達から貰った布でできた簡単なナップサックにまとめ、自分で持とうとしてライに取られたシンリは、仕方なく数日間お世話になったテントから手ぶらで外に出た。
まずは灼熱の太陽。そして、ところどころツギハギなテントや、前回の襲撃での焼跡等が目についた。
「……」
ライは無言で、ステラの集落を眺めていた。その胸中には様々なものが渦巻いているのだろう。自分の罪の大きさの把握は、結構きつい刑である。
「チョコに、行くんだよね?」
横から声をかけてきたのは、ポチ、ザクロ、リペノ、それに数人のポチを信頼しているステラの戦士達だった。
「ええ、今までありがとうございました。『内戦は必ず私が止めます』、ポチさん。だから、私は行きます。行かなければならないんです」
真っ直ぐポチの瞳を見つめ、何の躊躇いもなくその言葉を口にできるシンリ。その瞳に答えたのは、ポチ。
「不思議だ――。シンリさんと出会ってから、数日しか経っていないけれど……もうシンリさんの言葉を信じている自分がいる。
このステラの集落以外、何も信じまいと思った。自分の手がそんなに大きいものじゃないと知ってからは、身に余るほど守るものは作らないようにしようと思った。
でも――、シンリさんと共になら、この内戦を止められる気がする。もう二度と、こんなことを起こさせない。それが可能になる気がする」
ポチは剣を抜き、片手で空高く掲げた。衆の灼熱の太陽の光を浴びて、剣が輝く。
「僕達も連れていってくれ」
ザクロ以外のリペノ、ステラの戦士達も剣を抜き放ち、天に掲げた。
「この剣に誓って、貴方の力になります。シンリ様」
シンリ、ポチ、戦士三名。合計五本の剣の光が、シンリの眼を一瞬眩ました。
「……うわお」
シンリは、その光景に圧倒された。
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