15.ポチ、激怒

2008年1月14日 Live2
 風の音を聞いた気がした。

 と考えていた賊の一人は既に、首と胴体が切り離されていた。

「――〜〜?」

 もちろん声は、出なかった。

「お、お、お、前、首、とれてるぞーー!?」

 許しを請うたプレイヤーを無情にも殺した衆解放戦線の数名は、一瞬で全員綺麗に生きることを却下された。

 彼らに大義はない。ゆえに彼は、殺すことを躊躇わなかった。

「貴様ら……」

 昇天。天使の歌声が賊達の耳に届き、光の柱が蒼い剣士を照らし出す。蒼い剣士は、高温度の蒼い炎を瞳に宿し、己を抑えていた。無理だったが。

「信じられない」

 蒼い剣士、ポチの後ろから切りかかろうとした賊を、一閃で昇天させたリペノは、その惨劇が現実に起きたものだと、信じることができなかった。もちろんその賊は放っておいてもポチが消去したであろうが、リペノもそれなりの怒りを覚えている。リペノはいくつかの戦場を知っていたが、これほどまでに一方的な虐殺はいまだかつて目撃したことがない。

「よ、よよくも仲間を殺したなあ!?」
「結構強いぜ、全員で囲め!」
「おお!」

 賊が十名以上でポチ、リペノ二人の蒼い剣士を囲む。その様子をただ眺め、何も行動を起こさないポチは、どうやってこの賊たちを一瞬で排除するか、冷静に考えていた。

(一人目は正面からで十分。二人、三人、四人目は位置的に横なぎで一度に片付けることが可能。五人目、六人目は位置修正を考慮に入れて、足を切断しておけば良い。七人目からは状況に応じて――)

「排除する」

 まるでゴミを片付けるかのように、ポチは言い捨てた。

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