13.ステラ、襲撃

2008年1月4日 Live2
 ザクロも交えてポチがシンリをどうしよう会議を開催中の折。

「ポチ師匠!」
「師匠やめて」

 突然テントの入り口の布が吹き飛び、同時にまた【隻眼の剣士】が飛び込んできた。いや、正確にはそれは、【隻眼の剣士】ではなかった。なぜならば、相違点が三つほどあり、順に述べていくとまず一つ、身長。150あるのかないのか微妙なところで、170はありそうなポチと並ぶと、その違いはますます顕著になった。次に、眼帯の位置。二人とも確かに隻眼だが、よく見るとポチは右目で、乱入者は左目が隠されている。
 そして最も分かりやすい違いが、ネームだった。

「はっ、すいません、ポチさん! つい!」
「うん、全然いいよ。それで、そんなに急いでどうしたんだい、リペノ」

 ネーム:リペノは、逆に言えばその3つ以外は隻眼の剣士ポチとほぼ同じであった。大小そっくりな【隻眼の剣士】が揃うのは、中々に面白い光景ではあるが、その時ステラの置かれていた状況は、少しも笑えるものではなかった。

「大変なんですよ! 銀派か周派かわかりませんが、と、とにかく五十人ぐらいのプレイヤーの集団が、ステラの町の入り口に来て……」

 その時、爆発音がして、テントが少し揺れた。同時にテント中央に吊るされていたランプも少し揺れる。

「……くそっ、またか!」
「ポチさん! 僕もお手伝いさせてください!」

 リペノが片手をあげて立候補した。それでもその手の先端はちょうどポチの頭ぐらいの高さだったが。

「いいだろう! だが無茶はしないでくれ」
「はい!」

 ポチとリペノは慌しくテントから飛び出していった。いくつかわからない単語があったので、シンリは状況についていけなかった。

「……! ごめんなさい、また怪我する人が出るかもしれないから、私も行きますね」

 ザクロも立ち上がり、その二人の後を追おうとした。まだシンリは状況を理解できていない。

「……また?」

 シンリが呟いたのは、ザクロが既にテントから去った後だった。

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