スクリーンに映し出された【法王カナン】は、どう見てもまだ子供だった。
かなり末広がりの白いローブに、水色線がいくつか入っていた。頭にはローブと同じ配色で、少し大きめのとんがり帽子。髪の毛も目の色も全てスカイブルーで、髪型はセミロング。
どう見ても魔術師で、子供である。
「皆さん、こんにちは」
しかしその小さな口から出てくる言葉達は、とても落ち着いていて、大人びていた。
「【法王カナン】です」
同時に歓声。
----------------------
短い演説が終わった後、カナンはアレクサンドル城のある一室で、自分の直属親衛隊の隊長と話していた。隊長は白い外套に金髪ロングツインテールの魔導士で、名をエラシナといった。
「以上で、魔導砲実験結果報告を終わります。もう試作段階から実用段階に移ったと言っても良いでしょう。これもカナン様のお力のおかげです」
「そう……」
エラシナとは裏腹に、カナンはその魔道砲開発にはあまり熱心ではなかった。それより、カナンが気にしていたのは。
「ねえ、エラシナ」
「ハッ、なんでしょうか」
「改まらなくてもいいんだけれど……、……私、演説上手くできていたかしら……?」
それまでの自信に満ちていた態度は何処に行ったのやら、数え切れないほどのシムシ国民に称えられている【法王カナン】は目を伏せ、エラシナに問う。
「ええ、もちろんです」
即座に、エラシナは微笑して答えた。その後、エラシナは「失礼します」と一礼して、無駄のない動作で部屋の外に出て行った。そのエラシナの様はまさに、『カナン様の忠実なる僕』である。
(……もっと、気楽に話してもらってもいいのにな……)
自分の今の立場を思えば、それは無理だということは、わからないはずもない。考えても仕方が無いことだったので、カナンは目を瞑り、両手で顔を抑え、考えた。
(……キサノ……)
かなり末広がりの白いローブに、水色線がいくつか入っていた。頭にはローブと同じ配色で、少し大きめのとんがり帽子。髪の毛も目の色も全てスカイブルーで、髪型はセミロング。
どう見ても魔術師で、子供である。
「皆さん、こんにちは」
しかしその小さな口から出てくる言葉達は、とても落ち着いていて、大人びていた。
「【法王カナン】です」
同時に歓声。
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短い演説が終わった後、カナンはアレクサンドル城のある一室で、自分の直属親衛隊の隊長と話していた。隊長は白い外套に金髪ロングツインテールの魔導士で、名をエラシナといった。
「以上で、魔導砲実験結果報告を終わります。もう試作段階から実用段階に移ったと言っても良いでしょう。これもカナン様のお力のおかげです」
「そう……」
エラシナとは裏腹に、カナンはその魔道砲開発にはあまり熱心ではなかった。それより、カナンが気にしていたのは。
「ねえ、エラシナ」
「ハッ、なんでしょうか」
「改まらなくてもいいんだけれど……、……私、演説上手くできていたかしら……?」
それまでの自信に満ちていた態度は何処に行ったのやら、数え切れないほどのシムシ国民に称えられている【法王カナン】は目を伏せ、エラシナに問う。
「ええ、もちろんです」
即座に、エラシナは微笑して答えた。その後、エラシナは「失礼します」と一礼して、無駄のない動作で部屋の外に出て行った。そのエラシナの様はまさに、『カナン様の忠実なる僕』である。
(……もっと、気楽に話してもらってもいいのにな……)
自分の今の立場を思えば、それは無理だということは、わからないはずもない。考えても仕方が無いことだったので、カナンは目を瞑り、両手で顔を抑え、考えた。
(……キサノ……)
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