4.カイド

2007年12月20日 Live2
 カイド王国。

 王はアトラ。別名寅王。
 大陸の北に位置している自然と魔法の国。厳しい環境(大雪、寒冷)、と壮大な自然(迷いの森、ユグドラシルの大木、エルフの里)等など、自然の力を味方(時々敵)につけた国である。
 一つの特徴として、恐ろしく強いモンスターがあげられる。度々強力なモンスターに国家存亡の危機にあうが、逆に強力なモンスターを味方につけて、戦力にすることもある。もちろん滅多なことではない。が、その力もあり、三大国とされた。
 ちなみに地形は、円形の海をはさみ、東と西カイドに分かれている。その間の海のほぼ中央には、首都フォロッサのあるロフ島がある。

 そのカイド王国の、寒冷地の中の寒冷地にある森、【迷いの森】は、【魔女】が住むと噂されていた。

 ――実際、存在するのだが。

「あー、寒いったらありゃしないわ」

 黒いローブをはおり、寒そうに両手で自分を抱きしめている女性は、【迷いの森の魔女】ヘレナである。彼女は日夜【迷いの森】の奥で怪しい研究を続けることに余念が無い。
 そんな彼女が自宅のこの森唯一の高発熱物である暖炉を離れ、数メートル先の視界さえ確保できない程の猛吹雪の外へ出てきたのは、もちろん理由があった。

「アサトくん?」
「ああ」
「相変わらずね。よくもこんな、か弱い私を、心まで凍てつきそうなこの厳しい環境の中におかせることができるわね。あなたが本当に、人間の心を持っているのか、疑ってしまうわ。それとも、あまりのカイドの寒さに、もう心は凍てついてしまっているのかしら?」
「あんたも相変わらずだな。まあ挨拶は程々にして、単刀直入に言おう。情報が欲しい」
「……ふーん。ま、断る理由はないけど、承諾する理由もないわね」
「『賢者の石』に一歩近づいた、といえば」
「!?」
「ほら、眼の色を変えたな、【迷いの森の魔女】」

 ヘレナはアサトの言葉に、眼を見開いた。そして一瞬、寒さで震えていたヘレナの体は時を忘れ、弛緩する。普段隙を見せない魔女の、そんな姿は、アサトにはとても新鮮だった。

「とにかく、情報が欲しい。【禁忌の武具】についてだ」

 アサトはその一瞬の隙を見逃さず、鋭くヘレナに切り込んだ。

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