2.なにかのために

2007年12月15日 Live2
 自己紹介も終わり、メンバーはそれぞれの仕事に取り掛かるため、チャットルームから出て行く。その数は十人以上だった。
 アメツキは声をかけるだけかけ、「興味があるならここへ」と誘っただけなのに、今集まった数を知り、少し驚いていた。誰とも会話が成り立たないと思われた、奇抜なプレイヤーばかりに話をもちかけた。だのに、今集まったメンバーの数は、予想よりも多い。計算外の好評さだ。何故か? おそらく、――ある一点、“愉悦”のために。このメンバーは、それだけのために集まり、その一点でかろうじて一つとなることができたのだろう。

「中々、捨てたものじゃないな、今の世界も」

 ほとんどのメンバーがいなくなったチャットルームで、アメツキは心にも無いことを呟いた。背中から現れたネコが、アメツキの頭の上に登り、大きな欠伸をした。その後、

「ツングースカ、ソドム・ゴモラ、チェルノブイリ、ハイロウ・ナーガ……シュヴィッツも確定。あと二本は欲しいところだなぁ」

 と、独り言。久しぶりに目標ができた、と何の感慨もなくアメツキは思った。
 アメツキが呟いた名前たちは、禁忌の武具と呼ばれる、Live世界では最も忌み嫌われ、呪われている武器たちである。ある特殊な条件を満たすと、所有者の体をモンスターに変質させ、時にはそのプレイヤーの心まで支配すると言われている武器である。それらを集め、一体アメツキは何をしようとしているのか。

「ん? ……なるほど、わかったよ、ネコ」

 またアクビをして、ネコはアメツキの背中の中に戻った。

「まあ武器のほうは皆に任せたし……。さて、俺は何を探そうかな……。

 『――』のために」

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