「ゴア嗚呼嗚呼嗚゛呼ああああ嗚゛呼嗚呼嗚呼嗚呼゛あああああああ゛ああ゛あああああ゛あああああああああああああああああああああ゛あああ゛ああああああああ!!!」

 まさに【悪魔】と表現するのが正しい。

 【無神】は両手に力の全てを集中させ、胸を反らせて獣のように吼えた。

 その両手には、今見た【圧魔力】。赤い魔力の超塊。

 砂煙も、大きな瓦礫さえも巻き込む、巨大な台風の目のようなそれを両手に宿らせて。

 無神は可能な限りの速さで動き。

 数百のアトラ達の分身をまとめて消し去った。

『や、やばいいい! ワシの【圧魔力】までコピーしよったぁあ!』
『馬鹿アトラが! 【圧魔力】まで盗られたじゃねーか!』
『仕方ないじゃろ!? というか仕方ないじゃろ!?』

 『コロス』

 テレパシー、により明確に伝えられたのは【無神】の意志である。これほどまでに【無神】第三形態が感情を高ぶらせたのは、初めてなのかもしれない。三国の王は、それだけのフォースを持っているということである。

 まあだから【無神】に勝てるのかと言ったら、それとこれとは別で。

『がっ!?』

 まだ分身は百近く残っていたはずだった。

 だが、それだけの数、確立をものともせず。

 【無神】は本物のアトラを引き当てた。

「【圧魔力】」

 【無神】は静かに呟いた。その赤い魔力の塊を腹に当てられたアトラは、くるくる、ばきばきと丸まって、小さくなって、最後には消えた。

 昇天。天使の歌声

 その一撃が決まったのは、【無神】だったから、というしかない。

「ちなみにチーム戦なので三人全員死ぬまで【三国王チーム】の負けは決定しません。あとこれ番外編なんで死んでも別に本編には関係ありません。以上フルファイア注釈」

 緊張感のないフルファイア司会の声。だが、アトラがあっさり消され、エキードニアがコロセウムの土に落ちて、カランと寂しく音を立てた。

 【分身】はアトラのスキルだったので、残った周とアイゼンの【分身】スキルは消え、【分身】自体も消滅した。

 残ったのは、【無神】を睨む周と、あぐらをかいて座っているアイゼンのみだった。

 【無神】の片手にはまだ【圧魔力】があった。どうやらスキルを複合させて本来全魔力消費である【圧魔力】を制御しているらしい。一体どんだけだ、と周は思った。

 周の目の前に、赤い双眸。

 赤い双眸の目の前に、周の不敵な笑顔。

「あばよ、バケモン」

 アイゼンの【共有】が発動。広がる巨大な陣。

 周は【共有】を既に発動していたので無理だった。この作戦のポイントは、スキルの共有、体力、魔力等の平均化、そして【共有】の対象は自由。敵であろうが、NPCであろうが、関係はない。
 あとの問題は時間。【共有】はあぐらをかいて座りながら何分も対象のことを考えるという変態的で無防備な儀式が必要なのである。だがそれはもう解決した。一人犠牲は出したが、解決したのだから、一向に良いのだ。

「私達の勝ちだ。【無神】」

 【無神】の全てのスキルがアイゼンと共有される。=アイゼンと共有している周もそのスキルを共有する。
 【無神】の驚異的な体力や魔力は全てアイゼンと平均化される。=アイゼンと周の体力も平均化される。=その処理がアイゼン、周、【無神】の体力、魔力全て平均化されるまで繰り返される。

 以上をもちましてアイゼン、周、【無神】、同一化計画が完了。
 スキル、体力、魔力、全て同じなキャラクターが、二対一でぶつかれば、どちらが勝つのかは誰でもわかるだろう。

 

 

 

「さて、やっと決着がつきました。【三国王チーム】の勝利です!」

 フルファイアが高らかに宣言した。

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