「……フル……ファイア!?」
アレックスが驚くのも無理はなかった。
赤い短髪、赤いサングラス、炎の男が、そこにいた。
「……」
アレックスを確認した炎の男は、すぐさま右手から炎の魔法をノータイムで放った。それをアレックスは【危険察知】で軽々と避ける。が、熱いものは熱かった。
(何故こんなところにッ!?)
一度倒したとはいえ二回程殺されかけたことを決して忘れていないアレックスは、とにかく焦った。それこそ、ネーム確認もできないぐらいに。
「……死ね」
狭い船内である。いくつか炎を避けたが、その程度の出力ではアレックスは倒せないと悟ったらしい。少し長い詠唱を炎の男は始めた。
隙。
だがその隙にも、アレックスは『恐れ』を感じてしまった。
(罠?)
脳内を過ぎってしまった。
隙を見せたことにより、できた隙に、アレックスは目の前の通路を埋め尽くす炎を見た。
もちろんアレックスは、魔法など使えない。後退しかない。
が、気付くと後ろの通路の扉は、鍵がどろどろに溶かされていて ――それがあの炎の男、最初の炎の魔法で溶かされた結果、計算尽くだとアレックスは知って、
(しまっ――)
------------------------
滲み出た黒い霧が、だんだんと広がっていく。
「……ミスト能力って珍しいな」
「ええ、ブラッドさん。僕こういうの苦手です。逃げていいですか」
「いいわけないだろ馬鹿やろう。青さんはミスト系能力が苦手なんだから、俺達がサポートしないと」
「ブラッドさん、そんなこと言うと」
「苦手――、否」
「ほら、青さんが意地になっちゃった」
持っていたハンドガンで弾を数発ぶっ放し、青は黒い霧が滲み出ていた箱を破壊した。さらにミストが多量に発生した。
「しまった。ミスト系能力じゃなくて、アイテムか」
ブラッドが間違いに気付いた。時既に遅し。広大な倉庫は真っ黒な霧で満たされた。
アレックスが驚くのも無理はなかった。
赤い短髪、赤いサングラス、炎の男が、そこにいた。
「……」
アレックスを確認した炎の男は、すぐさま右手から炎の魔法をノータイムで放った。それをアレックスは【危険察知】で軽々と避ける。が、熱いものは熱かった。
(何故こんなところにッ!?)
一度倒したとはいえ二回程殺されかけたことを決して忘れていないアレックスは、とにかく焦った。それこそ、ネーム確認もできないぐらいに。
「……死ね」
狭い船内である。いくつか炎を避けたが、その程度の出力ではアレックスは倒せないと悟ったらしい。少し長い詠唱を炎の男は始めた。
隙。
だがその隙にも、アレックスは『恐れ』を感じてしまった。
(罠?)
脳内を過ぎってしまった。
隙を見せたことにより、できた隙に、アレックスは目の前の通路を埋め尽くす炎を見た。
もちろんアレックスは、魔法など使えない。後退しかない。
が、気付くと後ろの通路の扉は、鍵がどろどろに溶かされていて ――それがあの炎の男、最初の炎の魔法で溶かされた結果、計算尽くだとアレックスは知って、
(しまっ――)
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滲み出た黒い霧が、だんだんと広がっていく。
「……ミスト能力って珍しいな」
「ええ、ブラッドさん。僕こういうの苦手です。逃げていいですか」
「いいわけないだろ馬鹿やろう。青さんはミスト系能力が苦手なんだから、俺達がサポートしないと」
「ブラッドさん、そんなこと言うと」
「苦手――、否」
「ほら、青さんが意地になっちゃった」
持っていたハンドガンで弾を数発ぶっ放し、青は黒い霧が滲み出ていた箱を破壊した。さらにミストが多量に発生した。
「しまった。ミスト系能力じゃなくて、アイテムか」
ブラッドが間違いに気付いた。時既に遅し。広大な倉庫は真っ黒な霧で満たされた。
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