たわいもないおはなし
2007年6月26日 LIVE番外編 ポチ vs ローラン・ブラッド
絶対忘れていた人のほうが多い。
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何故か追われる立場になっていたポチは、アレックスと思わぬ再会を果たし、その後シムシの追っ手と遭遇していた。
ブラッド、ローランと名乗る両名と切り結んだポチは、その後狙撃による不意打ちにより、ブラッドに肩を剣で切られ、ローランに左手を槍で貫かれた。
ポチは一瞬で深く、息を吸い込んだ。
(ブラッド、おそらく剣術はマスタークラス。同じくローラン、槍は中々。補助も上手い。それにスナイパー、か。完璧、お手上げだな)
一瞬で状況を分析し、ブラッドが浅かった一撃目からそのまま振り上げの二撃目に転じるのを確認。
(イチかバチか)
もちろんアレックスが消えたのを確認していたポチは、左手に刺さった槍はとりあえず放置し、ブラッドの二撃目回避に全力を注いだ。
(これは可能)
予想通り、限界まで仰け反ったポチのアゴの下を掠めたブラッドの剣は、まるで誰かへの合図だった。
(ここで銃弾が飛んできたらジ・エンド)
になることは何故かなかった。ブラッド、ローラン両名が一瞬戸惑いを見せたことからも、それがどれだけの奇跡なのかがわかる。
(感謝)
だからといって危機が去ったわけではなかった。振り上げられた剣をそのまま振り下ろせばブラッドはポチに勝てるし、ローランは少し力を入れて槍を前へ出せばポチのわき腹を突き刺せるだろう。
(だが、その時は)
ポチの決意を知ったのか、二人は一瞬怯む。勝負の分かれ目その1。
どちらか一方を、確実に殺す。そんなメッセージをポチは確実に全身で表現していた。どちらか、それは決定されていない。些細な動きで、どちらか一方に決め、確実に一方を殺す。そのメッセージはブラッド、ローラン両名の絆の深さのおかげで、一瞬動きを躊躇わせることに成功した。
(惜しい、70点です)
コンビネーション、互いを尊重しあうことで生まれる隙もある。ブラッドはポチの覇気に怯まず剣を振り下ろしたかのように見えた。だが、実際はポチに全ての軌道を見切られた死んだ一撃だった。
上手い具合にその剣をローランの槍の尖部切断に使うのだから、ポチの戦闘技術と精神いわゆる度胸は並大抵のものではなかった。
「!」
「!」
もちろんこれにはかなり鍛えられていたブラッド、ローランも驚いた。ブラッドの剣によって切断された自分の槍の先端が飛んでいくのを認めたローランは、両目に炎を灯した。
「バ、やめとけ、このタイミングは!」
ブラッドの静止を聞かず、ローランはその特殊なスキルを発動した。
「!」
突然、ポチの全身が燃え上がった。あわててブラッドは飛びのく。が、ローランはその燃え上がったポチの直視を止めなかった。
ローランの能力は【念力発火】、しかも見ただけで対象を燃やすという超レア先天性、名づけて【炎の眼】なのである。
「両目に炎が灯るエフェクトがなかったら、危なかった」
燃え盛っていたマントを突き抜けて、ポチの鋭い拳がローランに突き刺さった。【眼】に何かエフェクトがあるのは、経験上、全般的に【魔眼】と呼ばれる視ただけで物事に何らかの影響を与える超強力先天性スキルだけだとポチは、知っていたからこの結果になった。
強力なスキルを保持していても、使いどころを誤るとこうなるという良い例である。
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「やっぱり最初からガンガン能力使っていったらよかったんですよ、ブラッドさん!」
「馬鹿ローランが。切り札は取っておくものだろうが。それをあんなタイミングで使いやがって」
「そんな考え方古いんですよ。これからの時代使えるものは最初から最大限利用してですねー」
【炎の眼】の有効射程距離やエフェクト、タイムラグを理解したポチは、二人をふん縛ることに成功していた。なんだか大通りでドンパチをやらかしたせいか人が集まってきていたので、ポチは二人を酒場の裏に移動させていた。
(あ、危なかったー。アレックスさんありがとう)
ポチは安堵の表情をひとまず敵の前で押さえ込んだ。防ぎきれず焼けてしまったところどころがジンジンと痛みを主張している。酒場の表に戻ると、いろいろ置いてけぼりにされたザクロが立っていた。
「だ、大丈夫ですか……?」
戦闘に入り込むタイミングを逃したザクロが言いながら、ポチの治療を始めた。
「ええ、大丈夫です。生きた心地はしませんでしたが」
だが、よくもまあ、まだ生きているものだと、暖かい治療の光を受けてポチは思った。
今日の教訓:何事もタイミング
絶対忘れていた人のほうが多い。
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何故か追われる立場になっていたポチは、アレックスと思わぬ再会を果たし、その後シムシの追っ手と遭遇していた。
ブラッド、ローランと名乗る両名と切り結んだポチは、その後狙撃による不意打ちにより、ブラッドに肩を剣で切られ、ローランに左手を槍で貫かれた。
ポチは一瞬で深く、息を吸い込んだ。
(ブラッド、おそらく剣術はマスタークラス。同じくローラン、槍は中々。補助も上手い。それにスナイパー、か。完璧、お手上げだな)
一瞬で状況を分析し、ブラッドが浅かった一撃目からそのまま振り上げの二撃目に転じるのを確認。
(イチかバチか)
もちろんアレックスが消えたのを確認していたポチは、左手に刺さった槍はとりあえず放置し、ブラッドの二撃目回避に全力を注いだ。
(これは可能)
予想通り、限界まで仰け反ったポチのアゴの下を掠めたブラッドの剣は、まるで誰かへの合図だった。
(ここで銃弾が飛んできたらジ・エンド)
になることは何故かなかった。ブラッド、ローラン両名が一瞬戸惑いを見せたことからも、それがどれだけの奇跡なのかがわかる。
(感謝)
だからといって危機が去ったわけではなかった。振り上げられた剣をそのまま振り下ろせばブラッドはポチに勝てるし、ローランは少し力を入れて槍を前へ出せばポチのわき腹を突き刺せるだろう。
(だが、その時は)
ポチの決意を知ったのか、二人は一瞬怯む。勝負の分かれ目その1。
どちらか一方を、確実に殺す。そんなメッセージをポチは確実に全身で表現していた。どちらか、それは決定されていない。些細な動きで、どちらか一方に決め、確実に一方を殺す。そのメッセージはブラッド、ローラン両名の絆の深さのおかげで、一瞬動きを躊躇わせることに成功した。
(惜しい、70点です)
コンビネーション、互いを尊重しあうことで生まれる隙もある。ブラッドはポチの覇気に怯まず剣を振り下ろしたかのように見えた。だが、実際はポチに全ての軌道を見切られた死んだ一撃だった。
上手い具合にその剣をローランの槍の尖部切断に使うのだから、ポチの戦闘技術と精神いわゆる度胸は並大抵のものではなかった。
「!」
「!」
もちろんこれにはかなり鍛えられていたブラッド、ローランも驚いた。ブラッドの剣によって切断された自分の槍の先端が飛んでいくのを認めたローランは、両目に炎を灯した。
「バ、やめとけ、このタイミングは!」
ブラッドの静止を聞かず、ローランはその特殊なスキルを発動した。
「!」
突然、ポチの全身が燃え上がった。あわててブラッドは飛びのく。が、ローランはその燃え上がったポチの直視を止めなかった。
ローランの能力は【念力発火】、しかも見ただけで対象を燃やすという超レア先天性、名づけて【炎の眼】なのである。
「両目に炎が灯るエフェクトがなかったら、危なかった」
燃え盛っていたマントを突き抜けて、ポチの鋭い拳がローランに突き刺さった。【眼】に何かエフェクトがあるのは、経験上、全般的に【魔眼】と呼ばれる視ただけで物事に何らかの影響を与える超強力先天性スキルだけだとポチは、知っていたからこの結果になった。
強力なスキルを保持していても、使いどころを誤るとこうなるという良い例である。
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「やっぱり最初からガンガン能力使っていったらよかったんですよ、ブラッドさん!」
「馬鹿ローランが。切り札は取っておくものだろうが。それをあんなタイミングで使いやがって」
「そんな考え方古いんですよ。これからの時代使えるものは最初から最大限利用してですねー」
【炎の眼】の有効射程距離やエフェクト、タイムラグを理解したポチは、二人をふん縛ることに成功していた。なんだか大通りでドンパチをやらかしたせいか人が集まってきていたので、ポチは二人を酒場の裏に移動させていた。
(あ、危なかったー。アレックスさんありがとう)
ポチは安堵の表情をひとまず敵の前で押さえ込んだ。防ぎきれず焼けてしまったところどころがジンジンと痛みを主張している。酒場の表に戻ると、いろいろ置いてけぼりにされたザクロが立っていた。
「だ、大丈夫ですか……?」
戦闘に入り込むタイミングを逃したザクロが言いながら、ポチの治療を始めた。
「ええ、大丈夫です。生きた心地はしませんでしたが」
だが、よくもまあ、まだ生きているものだと、暖かい治療の光を受けてポチは思った。
今日の教訓:何事もタイミング
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