151.神 後

2007年6月18日 LIVE
「はーずかしいーのう……」

 アトラは手で顔を覆った。ブラッド、ローランはうろたえ、青はうつむいていた。クサモチは既に寝ている。

 【ビデオレター石】によるアレックスの告白(?)は、混乱した【神】によって途中から全世界に向けて放送された。(一人残らずテレパシーで)

「だがこれは、パターン入ったな」

 アトラは世界の勝利を確信した。

「というか愛の勝利か。うわあ、自分で言ってみて死にたくなったわい」
「…俺あんた殺したくなった」
「のわー! 落ち着けクサモチ!」

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 神は一時卵の中へ避難した。そこでもう一度自分を構築しなおし、再び完全、完璧なる【神】とならなければならない。
 卵の中で、自分の中のデータの整理を始める。時々体が崩れたが、それも卵の中でなら問題はない。
 ――だが、【神】から崩れた一部分が、ある少女の形を作ってしまったのは問題あった。

『神……なんだよね、私?』

 少女が口を開いた。自身の再構築に必死な【神】は、赤く血走った眼だけを少女に向けた。

『第二形態の私か。再構築プロセスで這い出してきたか。お前の役目はもう終わっている。消えて私に戻れ』
『第四形態の私、貴方が神……なら、なんでもできる……』
『うるさい、消すぞ? 元々お前があの【イレブン】とかいう不純物のデータを自分に取り込んだのが全て悪いのだ。エラーが多発しているから、お前の相手などしている暇はないのだが、【神】としては速やかにプレイヤー達を殲滅するために、邪魔なものは……』

『あなたは、薄っぺらいのね……』

 少女がその【神】に触れると、一瞬で【神】は分解された。雪のように【神】のカケラは卵の中を漂う。

 少女、サティンは、その雪の中で眼を閉じて、願った。

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