144.終焉1

2007年6月13日 LIVE
 ――その天使の歌声は

 神速で空間に血で線を描く。

 ――あの時以上に遠く、儚く

 跳躍、アレックス、自分でも驚くほど高く飛べた。

 ――だが歌声、聞こえた、確かに

 左手でナイフを強く掴む、血が出るほどに。

「リバース! アイゼエエエエエエエエエエエエエン!」

 叫んだ。声にならない声で叫んだ。バシン、黒く禍々しいナイフを振りかざす。

「トリガーが必要だ、トリガーが必要だ。トリガーガヒツヨウダ」

 アイゼンの眼は、もはや焦点が定まっていなかった。アレックスを受け入れるかのように、両手を広げていた。
 そのナイフは、アイゼンの脳天に綺麗に、突き刺さった。

 黒い稲妻、吸い上げる命。

 アレックスは両足をアイゼンに掴まれたことに気付けなかった。

「【ぜぜ、ぜぜぜったいりょりょりょういキ】」

 アレックスの両足は綺麗に粉々になった。

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