142.終演7

2007年6月12日 LIVE
「アイゼン様ぁ」

 突然敵の位置がわからなくなった7-3。だが、そのままスピードを落とすことはしなかった。できなかった。

「見えない! 何も見えません! アイゼン様あああ!」

 あまりの速さに線のように見える周りの景色。レーダーがなければ、何も見えない。何も見えない。何も見えない。

 しかしなぜか7-3は、黒い点だけ見つけることができた。アイゼンとは対照的な色。なのに、懐かしい。

「アイゼン様ぁああ!」

 そこに向かって、7-3は疾走した。

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 しばらく迷走した高速移動物体は、ある邪悪な黒オーラを持つ人物にぶつかり、四散した。

 昇天した。

 現れたのは、黒いオーラを纏う、アイゼン。だが全身の鎧はボロボロで、オーラも今しがたの衝突を防ぐために右腕だけに展開するのが精一杯な程度の弱さになっていた。

「無駄な力を使ってしまった……」

 ざわめくプレイヤー達。行方不明と聞いていた一国の王とも呼べる者が、変わり果てた姿で現れた。

「だが……トリガーが必要だ……」

 おぼつかない足取りで、アイゼンはアレックスの方へと歩き出した。

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「何故お主がワシの前に立ちはだかる?」

 戦場へと急いでいたアトラは、その途中で意外なプレイヤーと出会っていた。

「……退屈だから……かな」

 本当に、意外な。

7−3:アイゼンの手により、昇天

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