横を通り過ぎたのは灼熱の、そして絶対零度の、殺気。右腕は血の霧となった。アレックスの右腕は、完全に消滅したのだ。
「あ……」
ドキュンと、ジェット音が後ろで聞こえた。方向転換だ! 今頃になって【危険察知】。否。察知速度を超えている。いや、認識速度を超えている。なんだ、なんなんだこれは。か い ひ!
通り過ぎたのは、爆発音だった。
左側を猛スピードで通り過ぎた物体は、その前方に広がっていた【無神討伐隊】のプレイヤーさえ弾き飛ばし、またアレックスに迫ろうとした。その時【危険察知】によって両腕を失うことはどうにか回避したアレックスは、風圧によって倒れていた。
【危険察知】。フリキレタ。
……だから?
アレックス、乾いた笑い。死などとうに覚悟していたが、こんなわけのわからない終わり方は夢にも……。アレックスのそんな思考さえ間に合わない。アレックスの目の前に青いマントが突然現れた。それは超高速で動く物体を受け流し、なお立っていた。遅れてその時の衝突音がアレックスの耳に届く。トゥエルはようやく異常に気付いてアレックスに目を向けた。
「ごふっ」
青いマントの人物は、その一回の衝突で血を吐いた。そしてアレックスは初めて右腕に暖かいものが触れていることに気付く。
「動かないで、止血しています」
青いマントを羽織った隻眼の剣士ポチは、次のアタックに備えた。だが、自身で限界がわかっていた。次、終わり。
白のヒーラーザクロは、アレックスの右腕の治療に全力を注いでいた。だがわかっていた。間に合わない。全てが。
状況は、特に戦場では、めまぐるしく変わる。
「あ……」
ドキュンと、ジェット音が後ろで聞こえた。方向転換だ! 今頃になって【危険察知】。否。察知速度を超えている。いや、認識速度を超えている。なんだ、なんなんだこれは。か い ひ!
通り過ぎたのは、爆発音だった。
左側を猛スピードで通り過ぎた物体は、その前方に広がっていた【無神討伐隊】のプレイヤーさえ弾き飛ばし、またアレックスに迫ろうとした。その時【危険察知】によって両腕を失うことはどうにか回避したアレックスは、風圧によって倒れていた。
【危険察知】。フリキレタ。
……だから?
アレックス、乾いた笑い。死などとうに覚悟していたが、こんなわけのわからない終わり方は夢にも……。アレックスのそんな思考さえ間に合わない。アレックスの目の前に青いマントが突然現れた。それは超高速で動く物体を受け流し、なお立っていた。遅れてその時の衝突音がアレックスの耳に届く。トゥエルはようやく異常に気付いてアレックスに目を向けた。
「ごふっ」
青いマントの人物は、その一回の衝突で血を吐いた。そしてアレックスは初めて右腕に暖かいものが触れていることに気付く。
「動かないで、止血しています」
青いマントを羽織った隻眼の剣士ポチは、次のアタックに備えた。だが、自身で限界がわかっていた。次、終わり。
白のヒーラーザクロは、アレックスの右腕の治療に全力を注いでいた。だがわかっていた。間に合わない。全てが。
状況は、特に戦場では、めまぐるしく変わる。
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