139.終演4

2007年6月12日 LIVE
 ここは、司令部。

「第一陣、戦士部隊突破されたようです!」
「遠方からの援護射撃があった模様! 位置特定完了!」

「……ま、いいや、ほっとけ……」

「は? し、しかし、7−4様!」

「……7−3が、もういった……」

 7−3は忽然と姿を消していた。その速さは7−4もいつ消えたかわからないほどだった。そういえば【無神】保護者出現の報告から口数が少なくなっていたな、と7−4は思い出していた。

(……怖いな……)

 7−3がいた場所に、わずかに残る冷気、主に殺気。7−4は、終わりが近づくのを感じていた。いろいろな意味で。

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 そして戦場では。

「さて、と」

 もうひとつ、転機が必要だった。何せ、第一陣を突破したとはいえ、現在は実質第一陣と第二陣に挟まれた状態だ。挟み撃ち。数十秒もしないうちに完全に包囲され、二人そろって昇天は目に見えていた。

「だが」

 日ごろの行いが良い為か、第二陣の一部の戦士達が空に舞い上がった。すかさずアレックスは【神速】で第二陣すらも突破。そして白い一角獣と合流した。

「また置いていって悪かった、トゥエル。そしてまた助かった、ありがとう」
「ヒヒン!」

 うれしそうに鳴いたトゥエルは、角を横に振って、二十人ほどのプレイヤーを一気に吹き飛ばした。プレイヤー達の悲鳴が木霊する。

「うおおおお!」
「うわああ!」
「なんだあいつ! 幻獣クラスだぞ!」

 広がる波紋、衝撃は、今の状況打破に十分なもの。

「よし」

 密かにアレックスは確信していた。い け る。

 スナイプで倒れ、トゥエルの暴風に吹き飛ばされ、隊列を乱すプレイヤー達。今は【無神】と呼ばれているサティンをトゥエルの背中に乗せ、自らもその隊列乱しに加わろうとしたその時、その時。その後ろから迫ってきた高速移動物体に、右腕を吹き飛ばされるまでは。

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