120.神

2007年3月25日 LIVE
 シムシ:4
 衆:2
 カイド:1

 今まで消滅した町の数。

“【無神】討伐隊、各責任者は本部まで!”
「大砲の手入れはちゃんとしておけよ!」
『第四、七、十五部隊、東門集合! 今すぐだ! 急げ!』

 怒号、大声、テレパシー。

 ここはシムシの中央草原、さらにその中央に位置する町、『デュマ』。草原の町、デュマだ。グラズノより少し南にあるらしい。

“予想時刻まであと一時間”
『第十五部隊、遅い! 急げ!』
「おい、整備は!?」
「誰か炎系の魔法使える奴いないか!」

 【無神】は人を『喰らう』ことで無限に成長する。その恐ろしさを知っていた元老、アトラ、周、両名は過酷な国内情勢の中、それぞれ【無神】討伐隊を組織。シムシも7《セブン》達の決定により国軍を【無神】討伐に投入。

「カイド兵や衆の奴らと一緒に戦うのかよ……」
「ぼやくな、今は協力するしかないだろう……」

 だが、通り過ぎてゆく兵士達の言葉どおりに、各国の連携は思うようには行かなかった。元々友好的とは言えなかった三国。シムシと衆、衆とカイドはゴッドレスの策略の効果もあり、先ほどまではまさしく【戦争】をしていた状態だった。
 当初、支配者達の命令も聞かず、プレイヤー達は各個で【無神】に対抗しようとした。結果、逆にプレイヤー達は各個撃破、返り討ちに遭い、その戦力を大幅に低下させてしまうことになる。
 流石に危機感を抱いたプレイヤー達(本当にごく一部だが)は、次に襲われると思われる町、この『デュマ』に集まった。滅ぼされた町の位置、順番には単純な法則性があるからだ。本当に単純な法則性、消えた町から一番近い町が消える。

 約五百名。今、ここに【無神】と戦うためにいるプレイヤーの数だ。この数は、戦争に参加したプレイヤー数に比べると、圧倒的に少ない。今現在国家間の戦争に参加しているプレイヤー数にも負けるほどの数。

“予想時刻まであと三十分”

 だが、二度目はない

 危機感のある元老達はそのことを知っていた。もしもこれ以上【無神】に敗北すれば、もう【無神】は誰の手にも届かない点に到達するだろう。だが、危機感のないプレイヤーも、いるのだ。しかもたくさん。

 私は急遽作られた塀にもたれて座っていた。地平線が見えるほど広い草原のさらに先、サティンがいるであろう方向を見つめていた。

 *

 第四章(最終章を第四章に変更してみました)

 世界編

 

 血の涙を流したサティンは、確かに言った。

「……イ……ブン……けて……」

 *

 約一名。今、ここにサティンを助けるためにいる、プレイヤーの数だった。

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