生命力をトゥエルに分け与えたことにより、また私の意識は遠のこうとしていた。
(これだけ何回も、生命力削るとなあ……)
不本意ながら、慣れてしまいそうだった。
そんな私の意識をばっちり覚醒させるほどの閃光がルツェンを飲み込んだのは、その時だった。私はあまりの眩しさに目を光から背け、トゥエルの体の影に顔を隠した。目に焼きついた白は中々離れなかった。異様に甲高いチャージ音のようなものが聞こえてきた。その音はどんどん高音に、つまりは高まっていき、逆に光はその量を少なくしていった。
(生まれる!?)
何が!? 考えたと同時、爆発音が全てを吹き飛ばしていた。
*
草木が一本も生えていない荒野に、私はいた。かつてルツェンと呼ばれていた町、今はもう、消えていた。その町であった場所の中心であった場所に、(私はしばらく思考して)サティンであったモノが立っているのを見て、すぐ理解した。
次の段階だ。
いきなりポンと、そんな単語が浮かんだ。寒気。次の段階? 自分でも一体なぜそんなことを考えたのかわからなかった。寒気。だが、その言葉は心の奥底から湧き上がってきたので、否定する気になれなかった。
荒野に立ち、空を見上げている、サティン。
まだ不完全だった体は、完全な成体になっていた。一般的に人間としては最も力が漲る二十代の体に、あの時と変わらない長い黒髪、そして純粋な赤眼、ぴったりのサイズになった赤い布の服。顔つきもそのまま成人となり、男か女かもわからないままで、美しいままだった。ただ、あの頃、見えていた不完全、不安定は完全に消えうせて、
サティンは完璧になっていた。
人としての容姿としては、私には欠点を見つけることが不可能な姿になっていた。五百メートル以上離れた地点にいる、ちっぽけな点のように見えるサティンの姿から、眼を離せない。眼をずらせない。
サティンが両手を空に掲げた。両拳を握って、大きく伸びをして、まるで世界に生まれたことを、喜んでいるかのように、笑った。私とサティンの距離は相当離れていたが、サティンはその時、確かに笑っていた。見えたというより感じた。
そしてサティンは、確かにこっちを見たのだった。
(これだけ何回も、生命力削るとなあ……)
不本意ながら、慣れてしまいそうだった。
そんな私の意識をばっちり覚醒させるほどの閃光がルツェンを飲み込んだのは、その時だった。私はあまりの眩しさに目を光から背け、トゥエルの体の影に顔を隠した。目に焼きついた白は中々離れなかった。異様に甲高いチャージ音のようなものが聞こえてきた。その音はどんどん高音に、つまりは高まっていき、逆に光はその量を少なくしていった。
(生まれる!?)
何が!? 考えたと同時、爆発音が全てを吹き飛ばしていた。
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草木が一本も生えていない荒野に、私はいた。かつてルツェンと呼ばれていた町、今はもう、消えていた。その町であった場所の中心であった場所に、(私はしばらく思考して)サティンであったモノが立っているのを見て、すぐ理解した。
次の段階だ。
いきなりポンと、そんな単語が浮かんだ。寒気。次の段階? 自分でも一体なぜそんなことを考えたのかわからなかった。寒気。だが、その言葉は心の奥底から湧き上がってきたので、否定する気になれなかった。
荒野に立ち、空を見上げている、サティン。
まだ不完全だった体は、完全な成体になっていた。一般的に人間としては最も力が漲る二十代の体に、あの時と変わらない長い黒髪、そして純粋な赤眼、ぴったりのサイズになった赤い布の服。顔つきもそのまま成人となり、男か女かもわからないままで、美しいままだった。ただ、あの頃、見えていた不完全、不安定は完全に消えうせて、
サティンは完璧になっていた。
人としての容姿としては、私には欠点を見つけることが不可能な姿になっていた。五百メートル以上離れた地点にいる、ちっぽけな点のように見えるサティンの姿から、眼を離せない。眼をずらせない。
サティンが両手を空に掲げた。両拳を握って、大きく伸びをして、まるで世界に生まれたことを、喜んでいるかのように、笑った。私とサティンの距離は相当離れていたが、サティンはその時、確かに笑っていた。見えたというより感じた。
そしてサティンは、確かにこっちを見たのだった。
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