ゴッドレスを滅ぼした後、謎の集団もルツェンに『境の閃光』が出たことを確認した。その謎の集団の正体は、アイゼンの考え通り、GMの集団だった。古今東西色々な国からランダムに集められたような統一性のないプレイヤー達の集団は、その実はそれぞれ強力なスキルを保有しているLive最強の集団だった。

「……まさか第三段階か!? 早すぎる!」
「やばいな。まだ第二段階なら、俺達だけでもなんとかなったんだが」
「これでは総力戦になるぞ」
「やはり【無神】捜索に時間を割いたほうが良かったんじゃなか」
「終わったことだろ。それに俺達は【無神】と戦わない方が良かったんだ。だが、状況が変わったな」

 ゴッドレスを容易く滅ぼした集団が、うろたえ始めた。

「ペルとかが見物に行ってなきゃいいんだが」
「いいや、あいつは絶対に見に行ってるね」
「頼むからあのスキルだけは奪われないでくれよ……本当に……」

 『境の閃光』が消えてゆく中で、GM達のざわめきは止まなかった。実はGM達の間でもあまり知られていないことだが、ゲームマスターといえども、出現したモンスターをポンと消したり、悪の組織の親玉をすぐさま特定することはできない。多くのプレイヤーが奮闘し、築き上げてきたLive世界の全把握は、もはやLiveを作った者たちにも不可能に近くなった。Live世界は今現在も膨れ上がっており、最早GM達の手から離れようとしているのだ。
 だからGMは、プレイヤーに紛れてLive世界を管理していくしかなかった。世界に敵対する組織ができたとしても、調査は自分達でするしかない。世界を滅ぼすモンスターが誕生したとしても、そのモンスターは直接自分達、あるいはプレイヤー達が倒さなければならない。

「全く、厄介なものを復活させてくれたな……」
「今回のは重労働だ……」
「まあ、あの案で決定だな」
「全世界テレパシー使えるやつは?」
「あ、俺使えます」

「じゃ、ヨロシク」

“緊急イベント告知! シムシ極東の町、ルツェンにて、最強最悪のモンスター【無神】が復活しました! 【無神】の力は放っておけば世界を滅ぼすほど強大です! プレイヤーの皆さんは、力を合わせて【無神】を倒してください! 以上です”

 緊急告知なんて、何年ぶりだったのだろうか。決められていた告知の後、GM達は二手に分かれた。【無神】と相性のいいプレイヤー、相性の悪いプレイヤーの二手だ。
 GM達によるスキル調節も、この頃は困難になってきた。若いGM程所有するスキルは弱くなっている。GM達はどんどん一般プレイヤーと変わらなくなってきたのだ。

「それでも、Live世界は回り続ける、と」

 【無神】攻略派のプレイヤー達のリーダーが、剣を掲げた。

「行くぞぉっ!」
「応っ!」

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