11が必死でトゥエルを治している最中のことだった。

「ぐへへ、負けたかフルファイア」
「ええ、負けたましたよ……オルゾフ」

 黒いローブを着た小柄な男が、いつのまにかフルファイアの側に立っていた。

「ぐへへ、お前にしちゃあ、随分潔いじゃねえか」
「……心外ですね。炎は潔く消えるから、美しいんですよ。それになんだか……燃えないんです。全く、嫌になりますね。愚かな初心者の考え方というのは」

 フルファイアは眼を閉じて首を静かに横にふった。その顔は何処か諦めていた。

「……さて、貴方がここにいるということは?」
「ぐへへ……そうだなあ、そういうことだなあ?」

 オルゾフは落ちていた名前隠し君を、ヒョイと拾い上げた。
 

 ――そして
 

 ルツェンの町から、全てを白に染めあげるような強烈な閃光が放たれた。

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