113.瞬

2007年3月11日 LIVE
「……?」

 どうやらフルファイアは少し呆れているようだ。私達が考えなしに二手に分かれたように見えたのだろう。
 ……実際、私達に策らしい策はない。二手に分かれたのはそれぞれの特性を生かすためだ。騎乗しながら神速は使えない。トゥエルの風も軽いほど良い。それだけの理由だ。確かに考えなしだ。

「……それでどうするんですか?」

 フルファイアは両手をそれぞれ、私とトゥエルに向けた。クル。寒気を感じると同時に熱。

 【神速】

 なるほど確かに。腕は二本あるんだからターゲットは二つになっても問題ない。だが、前の戦いで見せたファイアウォールを使ってこないところを見ると、やはり炎の威力は半減するようだ。トゥエルも風を使って炎をうまく防いでいた。ちょうどトゥエルと私でフルファイアを挟むような形になった時。

 ここだ!

 私とトゥエルは弾かれたようにフルファイアへと一直線に向かった。まさに焼いてくださいと言わんばかりの行動だ。そのタイミングを合わせ、真正面からフルファイアに立ち向かってくれたトゥエル。

 この一瞬の攻防が全てを決定するだろう。

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