「ぐへへ、チャットルームはなくなったとさ」
「……そうですか、……やはりね」

 ルツェンのある宿屋で、かつては【暴君】、かつては【炎帝】の二つ名を持っていたプレイヤーが、二人。

「と、いうことは、この子の受取人は行方不明ということですね」
「ぐへへ、そうだなあ……」

 ベッドには、かつて【無神】と呼ばれていたモンスターが一匹。

「こんな小娘がなあ……最強最悪? ぐへへ!」
「……気を抜いてはいけませんよ」
「ぐへへ、わかってるって。オラの【幻惑】がここまで効いたのは、まだ第二段階だったからだろう?」
「……貴方、頭が悪いフリをしていませんか?」
「ぐへへへへ」

 なんだかんだ言いながら、この二人は結構仲が良かった。

 チャットルームはなくなった。ここ、シムシ極東ルツェンの町から、大陸極東チャットルームまで行く理由は、もうない。

「これからどうするぅ?」
「……どうしましょうね」

 協力してくれたプレイヤーを焼いてみようか。撒いたエサを食べにきた小鳥を焼くのも面白そうだ。東から来るであろう集団を待つのもいい。だが、最も楽しそうなのは……。

「……」

 静かに眠っている【無神】の顔を、フルファイアはサングラス三号をずらしてよく見た。

 ……フルファイア、狂気の笑みを抑えきれず。

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