「と、いうわけで、私とサティンはプレイヤーのいない所へ行こうかと思っています」
「……」
「……」
驚き、呆れ、色々なものが混ざっている表情のザクロさん、ポチさんだった。
「……でも、あの子は」
「……はい、わかっています、ザクロさん。サティンはゲームのキャラ、NPCであって、プレイヤーキャラクターではないかもしれない。人ではないかもしれない。……わかっています。
……それでも、サティンは、『助けて』と、言っていました。私は助けを求める、人を……いえ、人に限らず、全てを、助けたいんです」
「……すいません」
「いいえ。ザクロさんが謝ることなんてありません。私が勝手に情に絆《ほだ》されているだけなのですから」
そう、情。理由なき、情だ。
サティンは本心から『助けて』と言ったのだろうか。わからない。サティンは人を殺すのが好きなのだろうか。わからない。
全ては私の自己満足になるのかもしれない。
「でも、そういうものがあるのは、ちょっと羨ましいと思います」
最後にはザクロさんは、諦めたような、納得したような、そんな笑顔を見せてくれた。
*
私とポチさんとザクロさんは、集落の出入り口に立っていた。
「これからは?」
「まずはポチさんの完全回復を見届けます」
ザクロさんは結局一言も喋らなかったポチさんを見た。ポチさんは、たじろいでいた。
「はは……、ポチさん、ちゃんとザクロさんの言うことを聞いてくださいよ?」
「……はは、努力するよ」
ポチさんは苦笑いしながら、頭をかいた。
「アレックスさん、僕もずっと、考えていたんだけど……」
「はい?」
ポチさんは私がサティンのことを話し始めたときから今まで、何か考え込んでいるかのように無言だった。それに何か、結論が出たらしい。
「守ると決めたら、守る。絶対に諦めないで、頑張って! お互いに、ね。アレックスさん」
右手で拳を作ったポチさんは、それを私に向かって差し出した。私も右手で拳を作り、ポチさんの拳に軽くぶつけた。
(あ……ポチさんも頑張っているのか)
そして私は、ザクロさん達と別れた。
*
燃えさかる森。
必死で探した。
四本、全ての足を焼かれ、横たわるトゥエルを見つけた。
トゥエルの横腹に貼られていた紙。丁寧な文字だった。
“【無神】はいただきました。シムシ極東、ルツェンにて待つ ――Full Fire”
サティンの姿は、なかった。
「……」
「……」
驚き、呆れ、色々なものが混ざっている表情のザクロさん、ポチさんだった。
「……でも、あの子は」
「……はい、わかっています、ザクロさん。サティンはゲームのキャラ、NPCであって、プレイヤーキャラクターではないかもしれない。人ではないかもしれない。……わかっています。
……それでも、サティンは、『助けて』と、言っていました。私は助けを求める、人を……いえ、人に限らず、全てを、助けたいんです」
「……すいません」
「いいえ。ザクロさんが謝ることなんてありません。私が勝手に情に絆《ほだ》されているだけなのですから」
そう、情。理由なき、情だ。
サティンは本心から『助けて』と言ったのだろうか。わからない。サティンは人を殺すのが好きなのだろうか。わからない。
全ては私の自己満足になるのかもしれない。
「でも、そういうものがあるのは、ちょっと羨ましいと思います」
最後にはザクロさんは、諦めたような、納得したような、そんな笑顔を見せてくれた。
*
私とポチさんとザクロさんは、集落の出入り口に立っていた。
「これからは?」
「まずはポチさんの完全回復を見届けます」
ザクロさんは結局一言も喋らなかったポチさんを見た。ポチさんは、たじろいでいた。
「はは……、ポチさん、ちゃんとザクロさんの言うことを聞いてくださいよ?」
「……はは、努力するよ」
ポチさんは苦笑いしながら、頭をかいた。
「アレックスさん、僕もずっと、考えていたんだけど……」
「はい?」
ポチさんは私がサティンのことを話し始めたときから今まで、何か考え込んでいるかのように無言だった。それに何か、結論が出たらしい。
「守ると決めたら、守る。絶対に諦めないで、頑張って! お互いに、ね。アレックスさん」
右手で拳を作ったポチさんは、それを私に向かって差し出した。私も右手で拳を作り、ポチさんの拳に軽くぶつけた。
(あ……ポチさんも頑張っているのか)
そして私は、ザクロさん達と別れた。
*
燃えさかる森。
必死で探した。
四本、全ての足を焼かれ、横たわるトゥエルを見つけた。
トゥエルの横腹に貼られていた紙。丁寧な文字だった。
“【無神】はいただきました。シムシ極東、ルツェンにて待つ ――Full Fire”
サティンの姿は、なかった。
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