100.再会

2007年3月4日 LIVE
 ステラの集落が遠くに見えたときには、日は既に昇っていた。太陽が砂漠の砂を焼き始め、トゥエルの体力も限界に達しようとしていた。

「トゥエル! もういい! 疲れているだろう!」
「ヒヒン!」

 最後まで走らせろ、と言わんばかりにトゥエルはさらに加速した。

「無茶するやつだな……」

 でも、元気になったようなので安心もした。

 *

「……」

 ステラはチョコと比較的近い位置にある集落だ。

「にも関わらず……」

 テントの数は少ない。チョコやビストに比べると、圧倒的に少ない。木造建築も物見櫓も柵もない。本当のキャンプのように、テントが数十乱雑に並んでいるだけだった。人影も少ない。
 腕の中の白い子供は、まだ目を開けていなかった。医者は期待できないかもしれないが、休ませて貰うことだけでも……。

「止まれっ! 何者かっ!」

 鋭い声と殺気が背中に突き刺さった。いつの間に後ろに? 危険察知が機能しなかった? それにしても、この声は何処かで聞いたことがある。そんなこともまた何処かであった気がする。二重のデジャヴ。

「……ちょっと、休ませていただきたく……」

「ならば馬から降りよ! げふっ」
「ちょっとポチさん吐血してますよ! 無理しないで下さい!」

 聞いたことある名前。そして声が二つ。ああ、やっぱり。トゥエルから降りる。

「ゆっくり振り返れっ! ゆっくりだ!」

 言われたとおり、ゆっくり振り返る。最後に見たのは随分前だった気がする。後ろに立っていたのは、白い軽鎧を着た青髪の男性と、白いローブを着た金髪の女性だった。

「ポチさん! ザクロさん!」

 私は思わず叫んだ。

「「ア、アレックスさん……?」」

 その二人は、顔色の悪いポチさんと、そんなポチさんを支えているザクロさんだったからだ。

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