(素晴らしい……。これでまだ第二段階か)

 返り血を浴びた子供、最悪のモンスター、【無神】はまだ笑っていた。

(【空間】。出口を用意してくれ)
(はい、無常)

 後ろに出口が開いた気配。【無常】はチャットルームに戻った。【無神】はまだ笑っていた。

「計画は順調だな?」
「ええ、私や他のゴッドレス構成員の空間に、【障壁】の鍵を合わせた牢獄(プリズン)。もう半分ぐらいは埋まっています」
「数は?」
「100くらいですね。苦労したんですよ」
「それだけあれば次の段階に行けるな。まだ【無神】は不安定だ。大切に育てねばなるまい」

 【無常】と【空間】は、目的地に向かいながら会話をしていた。

「同じ部屋にエサを“何人”も入れたら、【無神】が倒されてしまう可能性がありますからね」
「ああ。この『計画』のために、収納空間の使える構成員を増やした。だが最終的にはお前を信頼するからな、【空間】。大きな部屋を用意しておいてくれ」
「ありがとうございます」

 二人はやがて止まった。薄暗闇に浮いている札には『プリズン1』と書かれている。

「中は?」
「ビギナの草原から【攫った初心者一名】です。最初のエサはこんなものでしょう。まあ最初にゴッドレス構成員を殺していますから、初心者なんて相手にならないでしょうけど」
「わからぬよ、初心者の方が我らより強い場合もある。だがそういう場合も好都合だがな。【無神】をこの部屋に入れろ」
「仰せのままに」

 【無常】は瞳を無数に並べられた【プリズン】、つまりは【エサ箱】に向けた。その瞳に、感情はなかった。

(もっともっと、殺して成長しろ、【無神】)

 プリズンに、プレイヤーの悲鳴が木霊した。

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