番外編 喧嘩するほど仲がいい
2007年2月21日 LIVE番外編 コメント (1) シムシ国首相、アイゼン。
カイド国王、アトラ。
衆族長、周。
三大国を統べる長達が、今ここに会していた。その張り詰めた空気の中を動けないザクロ。まだ寝る大物クサモチ。
「クサモチ……お主と言う奴は……」
流石のアトラも、呆れていた。その腹部に一撃蹴りを見舞う。
「おふっ!?」
「起きたか?」
「……もう起きれなさそう……」
「そうか、起きろ」
その様子を、アイゼンは黙って見ていた。
「……なんでアトラ王いるの……ああ、テレポートスクロールか……」
「そうじゃよ。なるべく来たくはなかったのじゃが、これは来るしかなかったわい」
「……俺、まだ状況飲み込めないんだけど……」
「たわけめ。勝手にカイド王国を出て行きおって。賢者の石強奪の黒幕が、そこにおるということよ。お主はそれだけわかればよいじゃろう」
「……うん、その通り……」
クサモチはゆっくりと起き上がり、アイゼンを見据えた。だがアイゼンは動かない。
「さて、そろそろ周の顔色が悪くなってきておるし、行くかのう」
「……ふぁああ……寝起きはキツい……」
アトラは肩や腰を捻って準備体操をしていた。クサモチは雷の玉をいくつも出している。
「……我と戦うか」
「アレの復活は断固阻止せねばなるまい。それに友がトチ狂っておるときに、一発ぶん殴って目を覚まさせてやるのが、友情というものじゃ、ろっ!?」
アトラの跳躍。ツインテールが風圧で激しく靡き、少し大きめのジャージが風圧でバタバタと音を立てた。アイゼンはやはりそれを黙って見ていた。繰り出されたアトラの拳が、見えないバリアに止められるのがわかっていたからだ。
「はっ!」
アトラの気合一発。ガラスの砕けたような効果音。だが実質アイゼンにも、アトラにもダメージはなかった。アトラはすぐさましゃがみ、「……ライジング・アロー……」、後ろからきたクサモチの数百本はあろうかという『雷矢』にあとを任せた。
「……愚かな」
アイゼンは呟く。そう、鉄壁と言われたアイゼンが、魔法に対する障壁を張っていないわけがなかった。魔法ならば、防御どころか反射もする反射障壁で跳ね返せる。術者は自分で放った攻撃を喰らうことになるのだ。
だが、『雷矢』の一発目は、アイゼンに直撃した。現れるべきバリアは、現れなかったのだ。
「なっ!」
『に』は言えず、アイゼンは二撃、三撃、四五六七大量の『雷矢』を喰らった。一撃一撃の威力は低くても、絶え間無く襲いつづける雷矢は、アイゼンに一瞬の呼吸さえ許さなかった。加えて電撃。アイゼンは体中が麻痺し、周を掴んでいた手の力を緩めた。周はその場に落ちて倒れ、アイゼンはまだ襲いつづけてくる雷矢の嵐の中で、思考していた。
(何故だッ!? 何故バリアが出ない!?)
「ぐっ! 貴様っ! ぐあっ! 何をしたああ! ぐっ! アトラぁああ! ぐはっ!」
まだまだ、続く雷矢の射撃。電撃が体中を巡り、遂にアイゼンは膝を床についた。これだけダメージを喰らったのも、膝をついたのも、アイゼンにとっては始めての経験だった。屈辱だった。
それに対してのアトラの一言は。
「気合で、どうにかした」
……。
アイゼンの黒いオーラが、密度を増した。
「やべ、『絶対領域』じゃ。クサモチ、そんな魔法じゃ効かぬぞ」
「……この甚振り《いたぶり》感がいいんだが……」
「このドSめ。でかいのを詠唱しておけ。儂がアイゼンをひきつける」
「……命令すんな……」
「言うとる場合か」
アイゼンの黒いオーラは『雷矢』を全て弾いていた。最早アイゼンの眼中に周は入っていない。今この世界で、おそらくは最強の脅威。賢者の石が失われた今でも、意味不明のこの強さ。カイド国王、
「アトラ! 貴様はここで消しておかねばならぬようだ」
アイゼンの黒いオーラの範囲が広がっていく。床さえも破壊し、広がっていく。
「よう言うたの、アイゼン。儂も久しぶりに本気を出すとするかのう」
元老vs元老。果てしない強さの対決が今、始まろうとしていた。
カイド国王、アトラ。
衆族長、周。
三大国を統べる長達が、今ここに会していた。その張り詰めた空気の中を動けないザクロ。まだ寝る大物クサモチ。
「クサモチ……お主と言う奴は……」
流石のアトラも、呆れていた。その腹部に一撃蹴りを見舞う。
「おふっ!?」
「起きたか?」
「……もう起きれなさそう……」
「そうか、起きろ」
その様子を、アイゼンは黙って見ていた。
「……なんでアトラ王いるの……ああ、テレポートスクロールか……」
「そうじゃよ。なるべく来たくはなかったのじゃが、これは来るしかなかったわい」
「……俺、まだ状況飲み込めないんだけど……」
「たわけめ。勝手にカイド王国を出て行きおって。賢者の石強奪の黒幕が、そこにおるということよ。お主はそれだけわかればよいじゃろう」
「……うん、その通り……」
クサモチはゆっくりと起き上がり、アイゼンを見据えた。だがアイゼンは動かない。
「さて、そろそろ周の顔色が悪くなってきておるし、行くかのう」
「……ふぁああ……寝起きはキツい……」
アトラは肩や腰を捻って準備体操をしていた。クサモチは雷の玉をいくつも出している。
「……我と戦うか」
「アレの復活は断固阻止せねばなるまい。それに友がトチ狂っておるときに、一発ぶん殴って目を覚まさせてやるのが、友情というものじゃ、ろっ!?」
アトラの跳躍。ツインテールが風圧で激しく靡き、少し大きめのジャージが風圧でバタバタと音を立てた。アイゼンはやはりそれを黙って見ていた。繰り出されたアトラの拳が、見えないバリアに止められるのがわかっていたからだ。
「はっ!」
アトラの気合一発。ガラスの砕けたような効果音。だが実質アイゼンにも、アトラにもダメージはなかった。アトラはすぐさましゃがみ、「……ライジング・アロー……」、後ろからきたクサモチの数百本はあろうかという『雷矢』にあとを任せた。
「……愚かな」
アイゼンは呟く。そう、鉄壁と言われたアイゼンが、魔法に対する障壁を張っていないわけがなかった。魔法ならば、防御どころか反射もする反射障壁で跳ね返せる。術者は自分で放った攻撃を喰らうことになるのだ。
だが、『雷矢』の一発目は、アイゼンに直撃した。現れるべきバリアは、現れなかったのだ。
「なっ!」
『に』は言えず、アイゼンは二撃、三撃、四五六七大量の『雷矢』を喰らった。一撃一撃の威力は低くても、絶え間無く襲いつづける雷矢は、アイゼンに一瞬の呼吸さえ許さなかった。加えて電撃。アイゼンは体中が麻痺し、周を掴んでいた手の力を緩めた。周はその場に落ちて倒れ、アイゼンはまだ襲いつづけてくる雷矢の嵐の中で、思考していた。
(何故だッ!? 何故バリアが出ない!?)
「ぐっ! 貴様っ! ぐあっ! 何をしたああ! ぐっ! アトラぁああ! ぐはっ!」
まだまだ、続く雷矢の射撃。電撃が体中を巡り、遂にアイゼンは膝を床についた。これだけダメージを喰らったのも、膝をついたのも、アイゼンにとっては始めての経験だった。屈辱だった。
それに対してのアトラの一言は。
「気合で、どうにかした」
……。
アイゼンの黒いオーラが、密度を増した。
「やべ、『絶対領域』じゃ。クサモチ、そんな魔法じゃ効かぬぞ」
「……この甚振り《いたぶり》感がいいんだが……」
「このドSめ。でかいのを詠唱しておけ。儂がアイゼンをひきつける」
「……命令すんな……」
「言うとる場合か」
アイゼンの黒いオーラは『雷矢』を全て弾いていた。最早アイゼンの眼中に周は入っていない。今この世界で、おそらくは最強の脅威。賢者の石が失われた今でも、意味不明のこの強さ。カイド国王、
「アトラ! 貴様はここで消しておかねばならぬようだ」
アイゼンの黒いオーラの範囲が広がっていく。床さえも破壊し、広がっていく。
「よう言うたの、アイゼン。儂も久しぶりに本気を出すとするかのう」
元老vs元老。果てしない強さの対決が今、始まろうとしていた。
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