「うわああああああああ!」
甘かった。
「あああああああああ!」
弱かった。
その力はただ、圧倒的だった。
「はははははあはあああああ! 焼かれろあああああああああ!」
砂漠を炎の海にした男。その男は『焼く』以外のことを考えていなかった。人を『燃やす』ためにできた男。私なんかが敵う相手ではなかったのだ。
無様に這いずり回り、顔中に砂をつけ、私は逃げた。
完膚なきまでに逃げた。
魂や勇気でどうにかなることではない。生半可な決意だったわけではない。確かに私は逃げないことを誓った。はずなのに。
ただ、強すぎた。ただ、狂いすぎていた。
「燃えろ焼けろ焦げろ消えろ灰になれ、燃えろ焼けろ焦げろ消えろ灰になれ!」
最早フルファイアのシルエットは魔獣。自分と同じプレイヤーとは思えない。
今度は何重にも炎の壁。もう体力も尽きた。後はどうなる。燃え尽きる。
「諦めたか。じゃ、死にな」
何の口上も無い。命令。振りかぶられたフランベルジュを、私は他人事のように見ていた。
ゴメンナサイ、10さん……。
「あー、熱いな」
何処かで聞いた軽口。青と白の軽鎧。すらりとした長身。優しいダークブラウンの髪。これは、幻覚?
「いいや、現実」
何処かで体験した感覚。浮遊感。風を切る音。炎は消えて、悪魔は消えて、月と星の綺麗な夜。私は集落の中に、テレポートしていた。
「久しぶりだがボロボロだな、アレックス……」
あまりに懐かしく、遠い声。だが、今は、何よりも
「ア、アメツキさん……」
私は、安心、していた。
「ああ、そうだよ、アメツキだよ。流石衆だな。熱かった」
甘かった。
「あああああああああ!」
弱かった。
その力はただ、圧倒的だった。
「はははははあはあああああ! 焼かれろあああああああああ!」
砂漠を炎の海にした男。その男は『焼く』以外のことを考えていなかった。人を『燃やす』ためにできた男。私なんかが敵う相手ではなかったのだ。
無様に這いずり回り、顔中に砂をつけ、私は逃げた。
完膚なきまでに逃げた。
魂や勇気でどうにかなることではない。生半可な決意だったわけではない。確かに私は逃げないことを誓った。はずなのに。
ただ、強すぎた。ただ、狂いすぎていた。
「燃えろ焼けろ焦げろ消えろ灰になれ、燃えろ焼けろ焦げろ消えろ灰になれ!」
最早フルファイアのシルエットは魔獣。自分と同じプレイヤーとは思えない。
今度は何重にも炎の壁。もう体力も尽きた。後はどうなる。燃え尽きる。
「諦めたか。じゃ、死にな」
何の口上も無い。命令。振りかぶられたフランベルジュを、私は他人事のように見ていた。
ゴメンナサイ、10さん……。
「あー、熱いな」
何処かで聞いた軽口。青と白の軽鎧。すらりとした長身。優しいダークブラウンの髪。これは、幻覚?
「いいや、現実」
何処かで体験した感覚。浮遊感。風を切る音。炎は消えて、悪魔は消えて、月と星の綺麗な夜。私は集落の中に、テレポートしていた。
「久しぶりだがボロボロだな、アレックス……」
あまりに懐かしく、遠い声。だが、今は、何よりも
「ア、アメツキさん……」
私は、安心、していた。
「ああ、そうだよ、アメツキだよ。流石衆だな。熱かった」
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