ザクロさんに体を癒してもらっていると、空気がピリピリと緊張してきた。
「……?」
何処かで経験した空気。……これは……。
私は慌てて周囲を見渡した。緑のローブを着た男が、復活していた。
「クサモ……」
雷が、クサモチさんの体の周りで停滞していた。
「……チちゃん?」
ターゲットは明らかにポチさんだった。
「……ここで会ったが百年目……この屈辱百倍にして……」
「クサモチさん、それ勘違いです誤解です!」
私の声が届くわけがなかった。賢者の石強奪時に、ポチさん扮する何者かと対決したクサモチさんは、まだその恨みを忘れていなかった。雷は既に発射されていた。
「もうどれだけ誤解されても、泣かないよ!」
泣ける台詞を吐いたポチさんは、持っていた剣をその場に突き刺してしゃがんだ。雷は全て、金属製でポチさんの頭より高い位置にあった剣の柄に落ちた。轟音と閃光が辺りを包む。
「……小癪な……。凶悪なる悪魔の炎、心髄まで不純なる焔、業火、炎怒、覇炎……あとなんだっけ……」
クサモチさんが詠唱し始めた。場にヤバイ雰囲気が漂う。と、いうか、クサモチさんの後ろにいる私まで寒気を感じているのは気のせいでしょうか。
「ちょ、クサモチさん?」
「燃えよ、燃えよ、燃えよ、燃えよ!ハハハハハハハハハハハ!」
駄目だ聞いてねえ。ポチさんは明らかに戦士系だ。クサモチさんの魔法には弱いと見て間違いない。しかもクサモチさんは素人でもわかる物凄い魔力。ポチさんは巻き添えを恐れてその場を動かなかった。だが笑みを作ったポチさん、その顔はひきつっている。
「“悪逆無道なる……」
クサモチさんはいよいよ決め台詞で、ミノタウロスに首の後ろ急所への手刀を受けて、気絶した。
……
……
……ミ、ミノ、うわああああああああああああ!
「うわああああああああああああ!」
「ヒヒーーーーーーーーーーーン!」
トゥエルと私は一目散に逃げ出した。ザクロさんは何故かその場から動かない。ポチさんは呆気にとられていた。
「な、なんだあれ!? なんだあれ!? 牛か!? 牛なのか!? それとも人!?」
テントの合間をあてもなく逃げるトゥエルに乗った私。だが、斧を持って仁王立ちしているミノタウロスが道を塞いでいるのを見つけて、私とトゥエルは全ての終わりを覚悟した。だが。
「11さんですね?」
ミノタウロスはニヤリと笑って、私の名前を言ったのだ。
「……?」
何処かで経験した空気。……これは……。
私は慌てて周囲を見渡した。緑のローブを着た男が、復活していた。
「クサモ……」
雷が、クサモチさんの体の周りで停滞していた。
「……チちゃん?」
ターゲットは明らかにポチさんだった。
「……ここで会ったが百年目……この屈辱百倍にして……」
「クサモチさん、それ勘違いです誤解です!」
私の声が届くわけがなかった。賢者の石強奪時に、ポチさん扮する何者かと対決したクサモチさんは、まだその恨みを忘れていなかった。雷は既に発射されていた。
「もうどれだけ誤解されても、泣かないよ!」
泣ける台詞を吐いたポチさんは、持っていた剣をその場に突き刺してしゃがんだ。雷は全て、金属製でポチさんの頭より高い位置にあった剣の柄に落ちた。轟音と閃光が辺りを包む。
「……小癪な……。凶悪なる悪魔の炎、心髄まで不純なる焔、業火、炎怒、覇炎……あとなんだっけ……」
クサモチさんが詠唱し始めた。場にヤバイ雰囲気が漂う。と、いうか、クサモチさんの後ろにいる私まで寒気を感じているのは気のせいでしょうか。
「ちょ、クサモチさん?」
「燃えよ、燃えよ、燃えよ、燃えよ!ハハハハハハハハハハハ!」
駄目だ聞いてねえ。ポチさんは明らかに戦士系だ。クサモチさんの魔法には弱いと見て間違いない。しかもクサモチさんは素人でもわかる物凄い魔力。ポチさんは巻き添えを恐れてその場を動かなかった。だが笑みを作ったポチさん、その顔はひきつっている。
「“悪逆無道なる……」
クサモチさんはいよいよ決め台詞で、ミノタウロスに首の後ろ急所への手刀を受けて、気絶した。
……
……
……ミ、ミノ、うわああああああああああああ!
「うわああああああああああああ!」
「ヒヒーーーーーーーーーーーン!」
トゥエルと私は一目散に逃げ出した。ザクロさんは何故かその場から動かない。ポチさんは呆気にとられていた。
「な、なんだあれ!? なんだあれ!? 牛か!? 牛なのか!? それとも人!?」
テントの合間をあてもなく逃げるトゥエルに乗った私。だが、斧を持って仁王立ちしているミノタウロスが道を塞いでいるのを見つけて、私とトゥエルは全ての終わりを覚悟した。だが。
「11さんですね?」
ミノタウロスはニヤリと笑って、私の名前を言ったのだ。
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