「なっ、なんだ!?」
「……何?」
ミシリと、えげつない音が下方から聞こえてきた。ここで私の考えを聞いて欲しい。
「どうやら、貴方が撃った銃弾が物見やぐらの柱にいくつもの穴を開けていたのに、先ほど私が貴方を乱暴に物見やぐらの床に叩きつけたもので、ついに柱も限界を突破。一本が折れてその後連鎖的に全ての柱が折れていくという流れ!?」
「……解」
やはりアオさんは冷静だった。というか無表情だった。既にやぐらが四十五度ほど傾いていて、落下速度が恐ろしいことになっているというのに!
「うおおおお!」
やぐらは村内の方向に折れていく。このままならテントが立ち並ぶ場所へ落ちていくようだ。しめた。このままテントの屋根の上に落ちれば、その衝撃を屋根の布が吸収してくれるという計算。しかもやぐらは、ちょうど村内でも一際大きいサーカス型テントの上に落ちようとしている。
「いいですか! テントの上に飛び移りますよ! テントの上ですよ! もしかしたら助かるかもしれません!」
「……?」
癒しのナイフを懐にしまう。その行為にアオさんは多少の疑問を感じたようだが、もう人のことに構っている暇は私にはなかった。サーカステントの屋根が目の前まで迫っていたからだ。
「よし!」
私とアオさんは同時にテントの屋根の上に飛び移った。勢いは凄まじかったが、そのテントの屋根は中々丈夫だったので、下まで突き抜けることはなかった。だが、逆に私とアオさんはその屋根の弾力で空中に投げ出された。
「はっ」
……しまった! 直接物見やぐらの上から落ちるよりはマシとはいえ、このままではテントの屋根から地面に落ちる。と考えていた時には、屋根の布を手で掴むことはできなくなっていた。手遅れというやつだった。下には地面しかない。およそ三メートル。スローモーションで時が進んでいく。物見やぐらの壊れる音が聞こえた気がした。幸い私とアオさんの下には物見やぐらの破片は広がっていない。だが……
(……駄目か!?)
そう思った瞬間、私は白い物体が、悠々とこちらに向かって走ってきているのを見つけた。私は胸のそこから何か熱いものがこみ上げてくるのを感じた。まさかこれが、希望なのだろうか?
「……トゥエルッ!」
「ヒヒン!」
待たせたなッ! と、確かに言った。確かにトゥエルはそう言った。
――お前は雄だっ! 男だぜっ、トゥエル! 絶体絶命の状況を突き抜ける白馬ッ! その名はトゥエルッ! グッジョブトゥエルッ!
バシッ。見事にトゥエルは、アオさんの服の端を咥えて地面への激突を阻止した。アオさんは呆気に取られ、私は漫画の一場面のように地面にめり込んでいた。三メートルの高さから落下したダメージは大きい。今にも意識が飛びそうだった。
トゥ……トゥエルてめえ……。
「ヒヒン?」
アオさんを優しく降ろして、地面にめり込む私を見ながら、トゥエルは首を傾げていた。
「……何?」
ミシリと、えげつない音が下方から聞こえてきた。ここで私の考えを聞いて欲しい。
「どうやら、貴方が撃った銃弾が物見やぐらの柱にいくつもの穴を開けていたのに、先ほど私が貴方を乱暴に物見やぐらの床に叩きつけたもので、ついに柱も限界を突破。一本が折れてその後連鎖的に全ての柱が折れていくという流れ!?」
「……解」
やはりアオさんは冷静だった。というか無表情だった。既にやぐらが四十五度ほど傾いていて、落下速度が恐ろしいことになっているというのに!
「うおおおお!」
やぐらは村内の方向に折れていく。このままならテントが立ち並ぶ場所へ落ちていくようだ。しめた。このままテントの屋根の上に落ちれば、その衝撃を屋根の布が吸収してくれるという計算。しかもやぐらは、ちょうど村内でも一際大きいサーカス型テントの上に落ちようとしている。
「いいですか! テントの上に飛び移りますよ! テントの上ですよ! もしかしたら助かるかもしれません!」
「……?」
癒しのナイフを懐にしまう。その行為にアオさんは多少の疑問を感じたようだが、もう人のことに構っている暇は私にはなかった。サーカステントの屋根が目の前まで迫っていたからだ。
「よし!」
私とアオさんは同時にテントの屋根の上に飛び移った。勢いは凄まじかったが、そのテントの屋根は中々丈夫だったので、下まで突き抜けることはなかった。だが、逆に私とアオさんはその屋根の弾力で空中に投げ出された。
「はっ」
……しまった! 直接物見やぐらの上から落ちるよりはマシとはいえ、このままではテントの屋根から地面に落ちる。と考えていた時には、屋根の布を手で掴むことはできなくなっていた。手遅れというやつだった。下には地面しかない。およそ三メートル。スローモーションで時が進んでいく。物見やぐらの壊れる音が聞こえた気がした。幸い私とアオさんの下には物見やぐらの破片は広がっていない。だが……
(……駄目か!?)
そう思った瞬間、私は白い物体が、悠々とこちらに向かって走ってきているのを見つけた。私は胸のそこから何か熱いものがこみ上げてくるのを感じた。まさかこれが、希望なのだろうか?
「……トゥエルッ!」
「ヒヒン!」
待たせたなッ! と、確かに言った。確かにトゥエルはそう言った。
――お前は雄だっ! 男だぜっ、トゥエル! 絶体絶命の状況を突き抜ける白馬ッ! その名はトゥエルッ! グッジョブトゥエルッ!
バシッ。見事にトゥエルは、アオさんの服の端を咥えて地面への激突を阻止した。アオさんは呆気に取られ、私は漫画の一場面のように地面にめり込んでいた。三メートルの高さから落下したダメージは大きい。今にも意識が飛びそうだった。
トゥ……トゥエルてめえ……。
「ヒヒン?」
アオさんを優しく降ろして、地面にめり込む私を見ながら、トゥエルは首を傾げていた。
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