76.離

2007年2月14日 LIVE コメント (1)
 いつ第二撃が発射されてもおかしくない状態。私は鉛のように重い体を精神力で押し上げていた。梯子を通常の二倍の速さで上った!

「おおおお! うおおおお! ごほっげはっ! これはきつーーーい!」

 無駄に叫んだ。これで上の狙撃者は私に気付いたはずだ。予想通り微妙な寒気が私を襲う。おそらく、敵に認知されたのだろう。

「我輩はお前の狙撃を阻止する者だァッァア! その名も11・ラブイレブン! 鬼のような逃げ足を持つ男よおおお! 神妙にせえええい!」

 はははは! もうどうにでもなれえい!

 ズンと、背中に圧し掛かるような寒気。やべえ。避け、れないっはしごだから横がないっ!?

 物見やぐらの上の床越しから、容赦なく狙撃者は私に発砲した。

「ぎゃあああああ!」

 瞬間、梯子から物見やぐらの足に飛び移る。しがみつく。その衝撃で物見やぐら全体がグラグラと揺れた。銃弾は私の体スレスレを通って地面に突き刺さったが、こっちはこっちで非常に危なかった。

「……!」

 まだ顔は見えないが、おそらく狙撃者も慌てている。どうだ、ざまあみろ。ちなみに今私がいる高度は三メートル程度だ。この物見やぐらはこの町の物見やぐらの中でも一際大きいので、全高は五メートル程あるだろう。これは(私も)怖い。たまらず、狙撃者は身を乗り出して、こちらを見た。

「……」

 顔を見せたのは、予想外。青の瞳と、鮮やかな水色のショートヘアをもつ小柄な女性だった。

「……離」

 ……り? 恐ろしく小さな呟きだったが、確かに聞こえた。そして彼女は無表情のまま、ハンドガンを私に向けた。

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雨月三水
雨月三水
2007年2月15日3:09

なるほど風神キャラか

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