マコさんを森近くにあった小さな集落に送り届けた後、私達は衆に向けて再出発した。(クサモチさんを加えて)
モエリの港から衆へ行くルートは二つあった。一つはシムシ国を通る東側ルート。もう一つは『 』中立国を通る西側ルートだった。
どちらも距離的には大差はない。だが、衆とシムシの国境沿いにある『アルル大渓谷』はLive世界最大の対人激戦区であるため、東側ルートは却下された。
ということで私達は今、西側ルート、『 』中立国の少し南側辺りに居た。あの森を通ったのは近道の為だったが、予想外の出来事に遭ってしまった。だが、いい経験になったと考えれば問題ない。ポジティヴシンキングは重要だ。
衆の国境は、もうすぐ。
周りは美しい青空と、美しい花畑。ザクロさんはトゥエルから何度も降りようとしたが、その度にトゥエルが体を揺らしてそれを阻んでくれた。どうやらちゃんと私の気持ちを汲んでくれているようだった。ザクロさんは戦闘能力がないようだから、トゥエルの足はきっと戦闘時に役に立つ。恐らくこれが一番安全。
――誰も死なせない。
申し訳なさそうにしながらも、ザクロさんはトゥエルを非常に気に入ってくれたようだ。嬉しそうな顔をローブで隠せていなかった。
「この子、非常にいい子ですね……」
「そうですか……?」
「ええ、わかります……。それに、多分この子……、何か持っています……」
「……何を?」
「……すいません、今はわかりませんけど……、ええ、とっても素敵なものです」
「……?」
わからないけど素敵なもの? 私にはザクロさんの言うことがよくわからなかった。
ザクロさんがトゥエルの首を撫でた。トゥエルは嬉しそうにヒヒンと一鳴き。金髪の美女と、大きな白馬と、お花畑のセットは、なかなかとても綺麗な絵になった。
……が。
「……蝶々……」
「……」
集落から今まで、一言も喋らなかったクサモチさんが、蝶を目で追いかけながら呟いていた。……誰も死なせない……。けれど、きっとクサモチさんは放っておいても死なないだろう。なんだかそんな気がする。
「……誰かと無差別に戦いたくなってきた……」
むしろクサモチさんを守る方法より、自分達の身をクサモチさんから守る方法を考えたほうがいいのかもしれない。だって、クサモチさんはオーラが危ない、オーラが。
「……でもやっぱり面倒になってきた……」
お花畑をフラフラ漂うクサモチさん。どう扱うか未だ決めかねている私。
モエリの港から衆へ行くルートは二つあった。一つはシムシ国を通る東側ルート。もう一つは『 』中立国を通る西側ルートだった。
どちらも距離的には大差はない。だが、衆とシムシの国境沿いにある『アルル大渓谷』はLive世界最大の対人激戦区であるため、東側ルートは却下された。
ということで私達は今、西側ルート、『 』中立国の少し南側辺りに居た。あの森を通ったのは近道の為だったが、予想外の出来事に遭ってしまった。だが、いい経験になったと考えれば問題ない。ポジティヴシンキングは重要だ。
衆の国境は、もうすぐ。
周りは美しい青空と、美しい花畑。ザクロさんはトゥエルから何度も降りようとしたが、その度にトゥエルが体を揺らしてそれを阻んでくれた。どうやらちゃんと私の気持ちを汲んでくれているようだった。ザクロさんは戦闘能力がないようだから、トゥエルの足はきっと戦闘時に役に立つ。恐らくこれが一番安全。
――誰も死なせない。
申し訳なさそうにしながらも、ザクロさんはトゥエルを非常に気に入ってくれたようだ。嬉しそうな顔をローブで隠せていなかった。
「この子、非常にいい子ですね……」
「そうですか……?」
「ええ、わかります……。それに、多分この子……、何か持っています……」
「……何を?」
「……すいません、今はわかりませんけど……、ええ、とっても素敵なものです」
「……?」
わからないけど素敵なもの? 私にはザクロさんの言うことがよくわからなかった。
ザクロさんがトゥエルの首を撫でた。トゥエルは嬉しそうにヒヒンと一鳴き。金髪の美女と、大きな白馬と、お花畑のセットは、なかなかとても綺麗な絵になった。
……が。
「……蝶々……」
「……」
集落から今まで、一言も喋らなかったクサモチさんが、蝶を目で追いかけながら呟いていた。……誰も死なせない……。けれど、きっとクサモチさんは放っておいても死なないだろう。なんだかそんな気がする。
「……誰かと無差別に戦いたくなってきた……」
むしろクサモチさんを守る方法より、自分達の身をクサモチさんから守る方法を考えたほうがいいのかもしれない。だって、クサモチさんはオーラが危ない、オーラが。
「……でもやっぱり面倒になってきた……」
お花畑をフラフラ漂うクサモチさん。どう扱うか未だ決めかねている私。
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