「かわいいパートナーができましたね」
ザクロさんがいつのまにかトゥエルを撫でていた。
「パートナー?」
初耳な単語だ。
「ええ、パートナーです。この世界では稀にモンスターや動物達と仲良くなれるんです。仲良くなったモンスターや動物たちはそれぞれ特徴的なスキルを持っていることが多いですから、ペット、というよりはパートナー(仲間)が正しいのです。ええ、二人(一人と一匹)で困難に立ち向かう、対等な仲間なのです」
ザクロさんは説明しながらも、トゥエルのタテガミや背中を一心に撫でていた。どうやら馬は好きなようだ。
「ザクロさんのパートナーは?」
「……いえ、私にはいません。パートナーというのは相性と運が重要ですからね。この世界に入ってからすぐに出会うこともあれば、死ぬまで出会えないことも多々あります。だから11さんは、とっても運がいいんですよ。
いいですねえ、私もパートナーが欲しいです……。カイド王国では比較的パートナー成立が多いはずなんですけどね……」
ザクロさんの表情が落ち込んでいく。しまった。地雷だったようだ。
「あ、あ、ザクロさん! あ、あと、えーとそこの方、マコさん?」
助けた女性のネーム確認。大きな籠を持ったマコさんは、突然話しかけられてあたふたしながらも頭を下げた。
「あ、はい。薬剤師のマコです。先ほどは、どうもありがとうございました」
「いえいえ、どういたしまして。マコさん、街まで送っていきますよ。トゥエルに乗ってください。ザクロさんもどうぞ」
話の逸らし方が少し強引だろうか。
「あ、いえ、そんな……」
「わ、私も乗る必要はないと思いますけれど……」
案の定、二人は渋ったが、
「いえいえ、女性二人を歩かせるわけには行きません。トゥエルも乗せたいと言っています。ほら、こんなにも私の頭を噛んでいるでしょう? これは『乗せたい』と言っているのです。私にはわかります。
それに、いつ先ほどのような凶悪なモンスターが襲ってくるかわかりません。その場合、馬であるトゥエルに乗っておけば安心ですよ。逃げ切れます。
あ、私のことは心配しないでください。大丈夫、私の逃げ足は馬よりも速いと評判ですから、逃げ切れます。むしろお二人を守るためにモンスターと戦うことになったら、私は非常に困ります。ええ、情けない話ですが、これは私のためでもあるのです。さあ、どうぞどうぞ、乗って乗って」
とりあえず理があるようなないような話で強引に女性二人をトゥエルに乗せた。二人の女性の徒歩は次の襲撃時に不利だというのが本音だ。まあ、この森はもう安全だとも思うのだが、念のためだ。
――で。
「なんでクサモチさんも乗ってるんですか!」
「……いいじゃん……」
「ダメです!」
「……ちぇ……」
トゥエルも流石に三人はきついのだろう。足が心なしかガクガクしている。
不貞腐れた顔でトゥエルから降りたクサモチさんは、何故か私の背中に回っていた。
「……クサモチさん?」
「…………おんぶしてくれ…………」
「……………………………………」
……どうしよう。
膠着状態の私とクサモチさんを残し、トゥエルは森の外に向かって歩き出した。(トゥ、トゥエルの薄情者ッ!)そんな私の心の声は、自分の脳内で反響しただけだった。
ザクロさんがいつのまにかトゥエルを撫でていた。
「パートナー?」
初耳な単語だ。
「ええ、パートナーです。この世界では稀にモンスターや動物達と仲良くなれるんです。仲良くなったモンスターや動物たちはそれぞれ特徴的なスキルを持っていることが多いですから、ペット、というよりはパートナー(仲間)が正しいのです。ええ、二人(一人と一匹)で困難に立ち向かう、対等な仲間なのです」
ザクロさんは説明しながらも、トゥエルのタテガミや背中を一心に撫でていた。どうやら馬は好きなようだ。
「ザクロさんのパートナーは?」
「……いえ、私にはいません。パートナーというのは相性と運が重要ですからね。この世界に入ってからすぐに出会うこともあれば、死ぬまで出会えないことも多々あります。だから11さんは、とっても運がいいんですよ。
いいですねえ、私もパートナーが欲しいです……。カイド王国では比較的パートナー成立が多いはずなんですけどね……」
ザクロさんの表情が落ち込んでいく。しまった。地雷だったようだ。
「あ、あ、ザクロさん! あ、あと、えーとそこの方、マコさん?」
助けた女性のネーム確認。大きな籠を持ったマコさんは、突然話しかけられてあたふたしながらも頭を下げた。
「あ、はい。薬剤師のマコです。先ほどは、どうもありがとうございました」
「いえいえ、どういたしまして。マコさん、街まで送っていきますよ。トゥエルに乗ってください。ザクロさんもどうぞ」
話の逸らし方が少し強引だろうか。
「あ、いえ、そんな……」
「わ、私も乗る必要はないと思いますけれど……」
案の定、二人は渋ったが、
「いえいえ、女性二人を歩かせるわけには行きません。トゥエルも乗せたいと言っています。ほら、こんなにも私の頭を噛んでいるでしょう? これは『乗せたい』と言っているのです。私にはわかります。
それに、いつ先ほどのような凶悪なモンスターが襲ってくるかわかりません。その場合、馬であるトゥエルに乗っておけば安心ですよ。逃げ切れます。
あ、私のことは心配しないでください。大丈夫、私の逃げ足は馬よりも速いと評判ですから、逃げ切れます。むしろお二人を守るためにモンスターと戦うことになったら、私は非常に困ります。ええ、情けない話ですが、これは私のためでもあるのです。さあ、どうぞどうぞ、乗って乗って」
とりあえず理があるようなないような話で強引に女性二人をトゥエルに乗せた。二人の女性の徒歩は次の襲撃時に不利だというのが本音だ。まあ、この森はもう安全だとも思うのだが、念のためだ。
――で。
「なんでクサモチさんも乗ってるんですか!」
「……いいじゃん……」
「ダメです!」
「……ちぇ……」
トゥエルも流石に三人はきついのだろう。足が心なしかガクガクしている。
不貞腐れた顔でトゥエルから降りたクサモチさんは、何故か私の背中に回っていた。
「……クサモチさん?」
「…………おんぶしてくれ…………」
「……………………………………」
……どうしよう。
膠着状態の私とクサモチさんを残し、トゥエルは森の外に向かって歩き出した。(トゥ、トゥエルの薄情者ッ!)そんな私の心の声は、自分の脳内で反響しただけだった。
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なんか思いっきりふいた