66.礼

2007年2月1日 LIVE
 その後私はその場に降ろされた。そういえば、さっきから危険を感じない。まさかとは思うが……。

「グオオオオ!」

 ビッグベアが空を仰いで咆えた。その咆哮は森中に響いた。鳥がバサバサと飛び立ち、森の葉がざわめく。
 それも収まり、静かになったと思ったら、今度は木々の間から、複数、いや無数の足音が聞こえてきた。それが四方八方から、この場所に近づいてきていた。

「……まさか、ねえ」

 不安そうにするザクロさんと薬草を持っている女性。だが私は、果物や色々なアイテムを咥えた動物やモンスター達が飛び出してきたのを見て、安心していた。

「……どうやら、お礼がしたいようですね」

 今は危険を、全く感じていなかった。
 これぞ、大怪我の功名。

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