「あっ」
私は、空を、飛んでいた。
ああ、これも武器がなかった所為だ。最初に持っていたショートソードはどうしたんだっけ。ああ、そうだ。カイド王国に行く前に、売ったんだっけ……。無一文だった私が防寒着を買う為に、10さんはかなりの額のお金を貸してくれたけど……私はまだそのお金を返していなかった……。
……10……さん……? そういえば!
ゆっくり進んでいた時間が、突然動き始めた。
どうにか体勢を立て直し、着地。衝撃。少し足が痺れたが、その後の行動に問題はなかった。意外と頑丈な体。
懐から、すっかり忘れていたナイフを取り出す。まあただのナイフなど、ビッグベア相手には針のようなものだろうが。
――でもこれは、あの10さんが、持っていたナイフだ。姿かたちは、白い刀身、白い柄、繊細な装飾。洗練された白いナイフ。だが持った瞬間、体中に力が漲《ミナギ》った。これがただのナイフであるわけがない。
ビッグベアは背中に二度も乗られて、ちょっとキレたらしい。意外と素早い動きで攻撃を繰り出してきた。私は冷静に体勢を低くして、構えた。
――行ける。
ドン、爆発音が間近で聞こえた。白いナイフの刀身からオーラがあふれ出し、サーベルのような形を作っていた。
それを確認したと同時に、私はビッグベアの肩口からわき腹を走りざまに。
一刀で。
袈裟切っていた。
手ごたえ……有り。
時間が止まる。
私とビッグベアは、背中合わせで止まっていた。
フッと、白いオーラが――消えた。
私は、空を、飛んでいた。
ああ、これも武器がなかった所為だ。最初に持っていたショートソードはどうしたんだっけ。ああ、そうだ。カイド王国に行く前に、売ったんだっけ……。無一文だった私が防寒着を買う為に、10さんはかなりの額のお金を貸してくれたけど……私はまだそのお金を返していなかった……。
……10……さん……? そういえば!
ゆっくり進んでいた時間が、突然動き始めた。
どうにか体勢を立て直し、着地。衝撃。少し足が痺れたが、その後の行動に問題はなかった。意外と頑丈な体。
懐から、すっかり忘れていたナイフを取り出す。まあただのナイフなど、ビッグベア相手には針のようなものだろうが。
――でもこれは、あの10さんが、持っていたナイフだ。姿かたちは、白い刀身、白い柄、繊細な装飾。洗練された白いナイフ。だが持った瞬間、体中に力が漲《ミナギ》った。これがただのナイフであるわけがない。
ビッグベアは背中に二度も乗られて、ちょっとキレたらしい。意外と素早い動きで攻撃を繰り出してきた。私は冷静に体勢を低くして、構えた。
――行ける。
ドン、爆発音が間近で聞こえた。白いナイフの刀身からオーラがあふれ出し、サーベルのような形を作っていた。
それを確認したと同時に、私はビッグベアの肩口からわき腹を走りざまに。
一刀で。
袈裟切っていた。
手ごたえ……有り。
時間が止まる。
私とビッグベアは、背中合わせで止まっていた。
フッと、白いオーラが――消えた。
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