56.虎

2007年1月25日 LIVE コメント (1)
「情報……情報ときたか。なるほど確かに、情報は重要じゃな」

 呟きながら、アトラ王は私に近づいてくる。一歩一歩確実に。全てを吸い込むような深さを持つエメラルドグリーンの瞳を私だけに向けて。

「それで、何を聞きたいのじゃ?」

 ドクンドクンと、心臓の音が五月蝿かった。のるかそるか。

「……賢者の石を奪ったプレイヤー」

「!」

 オ ワ ル 。

 これまでにないほどの危険。同じ空間にいる、世界トップクラスの力を持つプレイヤー三名。アトラ、クサモチ、ヤミハル。その三名の殺意を同時に向けられるとは、なんと豪華なひと時なのだろう。冷汗、脂汗、震える指先。
 だがこれで、推測は確信に変わった。

「やはり、奪われたんですね? 賢者の石」

「……くく、ははは! 本当に面白い奴じゃのう、お主は。それを確かめる為に、虎の口に手を突っ込んだのか? ふふふ」

 アトラ王は腹を押さえながら笑っている。私も笑おうとしたが、無理だった。顔が引きつっただけだった。

「そう、その通りじゃよ、賢者の石は奪われた。たった一人の隻眼の剣士にな」

 クサモチさんも、ヤミハルさんも、最重要機密であるはずの情報の漏洩に、何も言わない。それはそうだ、都合が悪くなったら、――消せばいいのだから。

コメント

ザクロ
ザクロ
2007年1月26日0:25

隻眼ーーーーーーーーー

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索