薄いカーテンが勢いよくひかれた。王の座には意外というべきか、予想通りと言うべきか、背の高い女性が立っていた。カイド王は男性だろうという考えは、どうやら私の勝手な思い込みだったようだ。綺麗なエメラルドグリーンの髪を二つに分けて纏めた女性は、口元を嬉しそうに歪めていた。溢れるほどの自信が満々の瞳。階段を一つ下りるたびに、肩の辺りで揃えられたツインテールが揺れた。
「儂の部下達の攻撃を凌ぎ切るとはやるのう、侵入者。その初心者っぽさは演技か? だとすれば、中々の曲者じゃの」
『王』と、達筆の文字が大きく赤く描かれた緑のTシャツ。ズボンは所々穴が開いたジーパンという、王、いや一般人でも珍しい奇抜なファッション。女性という性別を無視したおかしな喋り方と絶妙にマッチしていて、得体の知れない威圧感を醸し出している。
「儂は現カイド王国の王、アトラじゃ。……何故か、お主の名前が確認できないのじゃが……」
私は懐に入っている名前隠し君のことを思い出した。すっかり忘れていた。
「まあ、別に良い。名前がわからぬのもまた一興。儂はお主に興味が湧いた。お主はここに何をしにきたのじゃ? 欲しいものは儂の命か? それとも……」
「情報です」
心を流されないように。ここからが本当の勝負。
「儂の部下達の攻撃を凌ぎ切るとはやるのう、侵入者。その初心者っぽさは演技か? だとすれば、中々の曲者じゃの」
『王』と、達筆の文字が大きく赤く描かれた緑のTシャツ。ズボンは所々穴が開いたジーパンという、王、いや一般人でも珍しい奇抜なファッション。女性という性別を無視したおかしな喋り方と絶妙にマッチしていて、得体の知れない威圧感を醸し出している。
「儂は現カイド王国の王、アトラじゃ。……何故か、お主の名前が確認できないのじゃが……」
私は懐に入っている名前隠し君のことを思い出した。すっかり忘れていた。
「まあ、別に良い。名前がわからぬのもまた一興。儂はお主に興味が湧いた。お主はここに何をしにきたのじゃ? 欲しいものは儂の命か? それとも……」
「情報です」
心を流されないように。ここからが本当の勝負。
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