扉を開けて最初に目の前にあったものは、雷だった。扉を開ける前から顔の辺りを貫くような危険は感じていた。
「うおおおお!」
それでも、凶悪な雷鳴を轟かせながら、雷の矢が顔面のすぐ横を通り過ぎたなら、ビビるのが普通だろう。普通のはずだ。普通だ!
「ぎゃああ! 何するんですかいきなり!」
私は怒りに任せて叫ぶ。明らかに侵入者な私は攻撃されても仕方ないのだが、何故か叫んでしまった。
「外した……。また外した……」
濃い緑色のローブを着た魔法使いが、右腕を私の方に向けたままブツブツと何か呟いていた。ローブから覗く顔は、エメラルドグリーンの前髪で約半分が覆われており、眼が全く見えず、感情が窺えない状態だった。……不気味だった。
「ぐへへぐへへと下品に笑うシムシのヤツにも逃げられた……」
起伏も抑揚もない声。私はその奥に怒りのようなものを感じることができた。
「……消えろ」
物騒なことを呟きながら、緑の魔法使いはその右手に物凄い量の雷を発動させていた。気圧の変化か、広い王の間内の空気が乱れ、補修されていた窓やシャンデリアがパリンと音をたてて割れだした。
だが私は、目の前よりも背中の危険に思考が取られていた。
姿勢を低くする。また背景が線になっていく。階段では無意識に発動したが、おそらくこれが、10さんから【継承】した……。
【 神 速 】。
横に 跳 ん だ 。急速に線が元の形に戻っていく。一瞬で横に移動した私は、まさに先ほどまで私の背中があった場所に黒いドラゴンの爪が突き刺さっているのを確認した。
「な、んだと?」
ブラックドラゴンに乗っていたドラゴンテイマーが驚きの声をあげた。緑の魔法使いは構わず私に標準を合わせ、巨大な雷を放とうとしていた。
「やめよ! クサモチ! ヤミハル!」
凛とした、勇ましい声が風乱れる王の間の空気を一瞬で整えた。声と同時にクサモチは詠唱を止め、ヤミハルはドラゴンの頭を下げさせた。
「ははは! 面白い侵入者じゃな!」
王の間でさらに一段高い場所。薄いカーテンが張られたおそらくは王の座から、何故か女性の声がしている。
……まさか。
「うおおおお!」
それでも、凶悪な雷鳴を轟かせながら、雷の矢が顔面のすぐ横を通り過ぎたなら、ビビるのが普通だろう。普通のはずだ。普通だ!
「ぎゃああ! 何するんですかいきなり!」
私は怒りに任せて叫ぶ。明らかに侵入者な私は攻撃されても仕方ないのだが、何故か叫んでしまった。
「外した……。また外した……」
濃い緑色のローブを着た魔法使いが、右腕を私の方に向けたままブツブツと何か呟いていた。ローブから覗く顔は、エメラルドグリーンの前髪で約半分が覆われており、眼が全く見えず、感情が窺えない状態だった。……不気味だった。
「ぐへへぐへへと下品に笑うシムシのヤツにも逃げられた……」
起伏も抑揚もない声。私はその奥に怒りのようなものを感じることができた。
「……消えろ」
物騒なことを呟きながら、緑の魔法使いはその右手に物凄い量の雷を発動させていた。気圧の変化か、広い王の間内の空気が乱れ、補修されていた窓やシャンデリアがパリンと音をたてて割れだした。
だが私は、目の前よりも背中の危険に思考が取られていた。
姿勢を低くする。また背景が線になっていく。階段では無意識に発動したが、おそらくこれが、10さんから【継承】した……。
【 神 速 】。
横に 跳 ん だ 。急速に線が元の形に戻っていく。一瞬で横に移動した私は、まさに先ほどまで私の背中があった場所に黒いドラゴンの爪が突き刺さっているのを確認した。
「な、んだと?」
ブラックドラゴンに乗っていたドラゴンテイマーが驚きの声をあげた。緑の魔法使いは構わず私に標準を合わせ、巨大な雷を放とうとしていた。
「やめよ! クサモチ! ヤミハル!」
凛とした、勇ましい声が風乱れる王の間の空気を一瞬で整えた。声と同時にクサモチは詠唱を止め、ヤミハルはドラゴンの頭を下げさせた。
「ははは! 面白い侵入者じゃな!」
王の間でさらに一段高い場所。薄いカーテンが張られたおそらくは王の座から、何故か女性の声がしている。
……まさか。
コメント
7−6よりファンになりそう
ちなみに7-4にも萌えr