「おい、お前! そこで何をしている!」
ザクロさんの返事を待つ間もなく、後方から声がふってきた。おまえとは明らかに私のことだろう。
「あっ! えっ?」
思いがけない事態に、ザクロさんは私より混乱していた。こういう場合、逆に私のほうが落ち着く。ザクロさんに迷惑をかけるわけには行かない。かといって王の間に入ることを諦めることもできない。
刹那、私は体勢を低くした。考える間はなかった。自然と体が動いた。階段に向かって、一息に走る。いや、
跳 ぶ 。
背景がぐにょりと伸びて、線になっていった。こちらに向かって走ってこようとしていた二人の兵士の間を抜けて、私は階段を一瞬でのぼっていた。
そう、まさに一瞬。
「なっ!」
「にっ!」
突然目の前から消えた私の姿を探そうと、二人の兵士は前方をキョロキョロと見渡していた。私はそれを後ろから眺めていた。一瞬で遠くになった階下には、私の後を追おうとしていたザクロさんがいて……転んでいた。
「きゃっ!」
階段にも絨毯が敷かれていた。転ぶ際にその階段の絨毯の端を思いっきり踏んでいたザクロさんは、勢いそのまま階段の絨毯をテーブルクロス引きのように引き抜いた。
「おわっ!」
「ぬっ!」
まさしくテーブルクロス上のグラスだった二人の兵士は、盛大に階段の中ほどで転び、落ちていた。
「おおおわああああ!」
「ぎゃああああ!」
「あああ! ごめんなさい! ごめんなさいいいい!」
半泣きになりながら、二人の兵士に回復魔法を施すザクロさん。申し訳ない気持ちと、感謝の気持ちを残して、私は王の間に迷いなく入った。
ザクロさんの返事を待つ間もなく、後方から声がふってきた。おまえとは明らかに私のことだろう。
「あっ! えっ?」
思いがけない事態に、ザクロさんは私より混乱していた。こういう場合、逆に私のほうが落ち着く。ザクロさんに迷惑をかけるわけには行かない。かといって王の間に入ることを諦めることもできない。
刹那、私は体勢を低くした。考える間はなかった。自然と体が動いた。階段に向かって、一息に走る。いや、
跳 ぶ 。
背景がぐにょりと伸びて、線になっていった。こちらに向かって走ってこようとしていた二人の兵士の間を抜けて、私は階段を一瞬でのぼっていた。
そう、まさに一瞬。
「なっ!」
「にっ!」
突然目の前から消えた私の姿を探そうと、二人の兵士は前方をキョロキョロと見渡していた。私はそれを後ろから眺めていた。一瞬で遠くになった階下には、私の後を追おうとしていたザクロさんがいて……転んでいた。
「きゃっ!」
階段にも絨毯が敷かれていた。転ぶ際にその階段の絨毯の端を思いっきり踏んでいたザクロさんは、勢いそのまま階段の絨毯をテーブルクロス引きのように引き抜いた。
「おわっ!」
「ぬっ!」
まさしくテーブルクロス上のグラスだった二人の兵士は、盛大に階段の中ほどで転び、落ちていた。
「おおおわああああ!」
「ぎゃああああ!」
「あああ! ごめんなさい! ごめんなさいいいい!」
半泣きになりながら、二人の兵士に回復魔法を施すザクロさん。申し訳ない気持ちと、感謝の気持ちを残して、私は王の間に迷いなく入った。
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