52.誤

2007年1月23日 LIVE
「■△※◎×!?」

 なんとか悲鳴を口の中で止めて、私は大慌てしながら後ろを振り向いた。

(しーっ)

 そこには小さな口の前で指を一本立てて止めている、ザクロさんがいた。どうやら私の首に手で触れたのは、ザクロさんだったようだ。

(何をやっているんですか、こんなところで。どうやってこんなところまで入って来たんですか?)

 どうやらザクロさんは、私が侵入者だということに気付いているようだ。それでも、私のことを気遣い、兵士にはまだ報告していない様子。なるほど、これなら危険を感じないわけである。
 ザクロさんなら、協力してくれるかもしれない。

(ちょっと、カイドの王と会ってみたいと思いまして)

 これは、半ば嘘だ。が、これ以上に真っ当な理由は思いつかなかった。

(まずいですよ。今お城は、シムシのプレイヤーに襲撃されて、殺気立っているんですから)

 やはり、襲撃されていたのか。……あれ?

(……シムシ?)

 私は思わず、ザクロさんに聞き返してしまった。

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