50.陰

2007年1月22日 LIVE
 城への潜入。は。
 簡単というか、最適だった。
 今更ながら、自分のスキルの優秀さを知る。

 【危険察知】A。危険という曖昧な事柄を察知するという曖昧なスキルながら、その精度は抜群だった。
 前から兵士の足音がした。今の場所では見つかる。危険。少し横にずれて、物陰、暗がりに入っただけで寒気はしなくなった。すぐ横を兵士が通り過ぎていく。
 息を殺して通路に出る。寒気は全くない。私は迷うことなく豪華なフォロッサ城廊下を進む。
 危険察知の『危険』は、どうやら命の関わる『危険』だけをさすわけではないようだ。現在の場合は捕まる危険、つまり命にあまり関わりがなさそうな危険でも、私の能力は察知していた。

「と、言っても、今捕まったらただじゃ済まない雰囲気なんですけどね」

 明らかに殺気だった兵士達が、先ほどから豪華な赤い絨毯の敷かれた廊下を行ったり来たりしていた。怖い怖い。が、殺気立っていたほうが、こちらとしては都合が良かった。

「くくく……『危険』がはっきりとわかりますよ……。これなら見つかるほうが難しい……」

 物陰から物陰へ。まるで、ニンジャのように。私は順調に王の間へと近づいていた。カサカサ。

コメント

お気に入り日記の更新

最新のコメント

この日記について

日記内を検索