49.理

2007年1月21日 LIVE
 ゲーム時間で深夜。都市フォロッサは眠らなかった。
 トーチ系魔法で所々照らされたフォロッサの街並みは、雪景色と相まって幻想的な光景となっていた。

「綺麗……だな」

 所々崩れている場所もあったが、ほとんどは補修されていた。フォロッサは何度も強力なモンスターに襲われたことがあると聞く。流石に慣れているのだろうか。
 度々強力なモンスターの襲撃に遭う日常。それもスリリングで面白そうだと私は思ったが、HPがいくつあっても足りなさそうである。私はまだ死ぬわけにはいかないので、この都市に留まることはできない。
 ここは素晴らしい都市だ。だが、明日、私はフォロッサから去る。決めていた。

 そしてその前に、やっておくべきことがあった。

『……成功ですか、つまらないですねえ』

 フルファイアが城から出た雷を見て、呟いた言葉だ。フルファイアはその後10さんにトドメをささず、フォロッサを去った。

『まあ、元々こういう予定ではありませんでしたし、元老が一人消えるのは私達の組織にとって、かなりのプラスであると見て間違いありません』

 ……そもそも、フルファイアは、10さん(元老)を殺すのは予定外だと言っていた。ならば予定があったということだ。『組織』の予定が。

 一つの推測。その予定は、『フォロッサ城襲撃』、或いは『フォロッサ城襲撃の手伝い』、だったのではないか?

 フォロッサ城の異常(巨大な雷)の後、すぐにフルファイアは成功を悟った。雷が合図だったのか、或いは私にわからない合図があったのか、わからない。
 わかるのは、というより推測できるのは、あの時フォロッサ城にはフルファイアの仲間がいて、何かの作戦に成功したということ。予定通りになったということ。しかもそれは凶悪なプレイヤーキラー(決定事項)であるフルファイア達が、所属する組織にとって元老殺しよりも重要なことだった。

 ……ここからは本当に推測であり、希望的観測だが……。奪われたのは、カイドの至宝、『賢者の石』ではないか?

 ――まあこの推測は、私のような一般市民にはあまり関係のないことだ。

 だがしかし、フォロッサ城に、『組織』の手がかりがあるのではないか? 10さんを殺した、フルファイアのいる、『組織』の……!

 確かめたい。どんなに低い可能性でも。
 そんな一念に駆られ、私はフォロッサ城門前に立っていた。

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